インジェクターとは？その洗浄（クリーナー）や交換の方法を解説
2023年12月11日更新
インジェクター（インジェクションシステム）とは、エンジンに正確な量の燃料を供給する役割を果たしている装置です。これによってエンジンは効率的に動き、車やバイクがスムーズに走ることができます。今回は、車に搭載されている「インジェクター」についてご紹介します。
インジェクターとは？
インジェクターは、車のエンジンに燃料を供給する重要な部品です。車のエンジンは、空気とガソリンを混ぜた混合気を燃料として使って動きます。ここでインジェクターの役割や特徴を説明します。
燃料の正確な供給
インジェクターはエンジンに正確な量の燃料を供給する役割を担っています。燃料はインジェクターから細かな噴霧状になるように噴射されます。これにより、燃料と空気がきれいに混ざり合い、エンジンがスムーズに動くことができます。
効率的な燃焼
インジェクターが燃料を細かく噴射することで、燃焼がより効率的に行われます。燃料が細かくなることで、エンジンのパワーや燃費が向上します。つまり、同じ量の燃料でもより遠くまで走ることができるのです。
環境へのやさしさ
インジェクターは環境にも配慮しています。正確な燃料供給と効率的な燃焼により、排出ガスの量や有害物質の排出を減らすことができます。これは、私たちの周りの空気や自然環境を守るために大切なことです。
キャブレターとインジェクターの違い
キャブレターとインジェクターは、車のエンジンに燃料を供給する装置ですが、働き方が異なります。キャブレターは古い仕組みで自動的に燃料を調整しますが、インジェクターは電子的な制御で正確な燃料供給が可能です。現代の車ではインジェクターが主に使われています。
インジェクターの仕組みと構造は？
インジェクターは、エンジンに正確な量の燃料を供給する役割を果たしています。以下にインジェクターの一般的な仕組みと構造を分かりやすく説明します。
インジェクターの構造
インジェクターは、細長い形をしている部品です。中には燃料が通る管やバルブ（バルブは戸を開けたり閉めたりする部品のことです）があります。
インジェクターの内部には、燃料の通り道があります。燃料はエンジンの燃焼室に行く前に、この通り道を通って噴射されます。通り道の中には、燃料の量を調節するためのバルブがあります。このバルブは、コンピューターからの指示に基づいて開いたり閉じたりします。
また、インジェクターには噴射弁（ノズル）と呼ばれる部品もあります。噴射弁は、燃料を細かい霧状にする役割があります。この霧状の燃料は、エンジンの中で空気と混ざり合い、燃焼が起こります。
インジェクターの仕組み
燃料はインジェクターの中を通り、小さな穴から細かい霧のように噴射されます。この燃料の霧がエンジンの中で空気と混ざり合って、燃えるのです。インジェクターは、「コンピューター」と連携して動きます。コンピューターはエンジンの状態をみて、ちょうどいい量の燃料を計算します。そして、その計算結果をもとにインジェクターが燃料を噴射するのです。これによってエンジンは力を発揮し、車やバイクがスムーズに走ることができます。
インジェクターはエンジンの燃料供給を制御するため、とっても大切な役割を果たしています。正確な燃料供給ができることで、エンジンはパワフルに動いて、燃費もよくなります。また、環境にもやさしいのです。なぜなら、燃料がきれいに燃えるので、エンジンから出るガスもきれいになるのです。
インジェクターの洗浄（クリーナー）の方法は？
インジェクターは、使用期間や燃料の品質によって汚れや詰まりが生じることがあります。この場合、インジェクターの洗浄が必要となります。以下に一般的なインジェクターの洗浄方法を説明します。
専用の洗浄剤を使用する方法
- 洗浄には専用のインジェクター洗浄剤を使用します。洗浄剤は通常、自動車用品店やオンラインで入手できます。以下は一般的な手順です。
- 車両を安全な場所に停め、エンジンを停止します。
- インジェクターを取り外します。インジェクターの取り外し方法は車種やメーカーによって異なりますので、車の取扱説明書を参照するか、専門の整備士に相談してください。
- インジェクターを洗浄装置に取り付けます。洗浄装置には洗浄剤を注入する入口があります。
- 洗浄装置に洗浄剤を注入します。注入量は洗浄剤の指示に従ってください。
- 洗浄装置を作動させ、洗浄剤をインジェクターに循環させます。通常、一定時間循環させることで汚れやカーボンが溶け出します。
- 洗浄が完了したら、洗浄剤を排出します。
- インジェクターを元の位置に取り付けます。
燃料タンクに添加剤を使用する洗浄方法
燃料タンクに添加剤を使用する洗浄方法は、比較的簡単に行うことができます。以下に一般的な手順を示します。
- 燃料タンクの準備：
- 車両を安全な場所に停め、エンジンを停止します。
- 燃料タンクのキャップを開けて、燃料タンクにアクセスします。
- 添加剤の注入：
- 選んだ洗浄剤の指示に従い、適切な量の添加剤を燃料タンクに注入します。通常は、燃料タンクの容量に対して推奨される割合で注入します。
- 燃料の補充：
- 添加剤を注入した後、燃料タンクに新しい燃料を補充します。洗浄剤が均一に燃料と混ざるようにするためです。
- 走行：
- 注入した添加剤入りの燃料を使って、通常の走行を行います。この際、エンジンは洗浄剤と混ざった燃料を燃焼します。
- 洗浄剤は燃料系統を通ってインジェクターや燃料ラインを洗浄し、汚れやカーボンを除去する効果があります。
インジェクターを取りはずして洗浄する方法
インジェクターの取り外しと洗浄は専門的な作業であり、知識と経験が必要です。そのため、自分で行う前に専門の整備士に相談することがおすすめです。
取り外したインジェクターは、クリーナーを燃料タンクに注入する場合とは異なり、ピンポイントで洗浄することができます。これにより、よりきれいな状態にし、燃料の燃焼効率を向上させることも可能です。
ただし、インジェクターを取り外して洗浄する場合、適切な洗浄方法を使用することが重要です。一般的には「パーツクリーナー」や「超音波洗浄機」が使用されます。これらの準備には、若干の費用がかかることを覚えておいてください。
インジェクターの交換費用や時期は？
インジェクターの交換費用や交換時期は、車のメーカーやモデル、インジェクターの種類によって異なります。以下に一般的な情報を提供します。
インジェクターの交換費用
インジェクターの交換費用は、車のメーカーやモデル、インジェクターの種類、整備工場の料金設定などによって異なります。一般的な価格をインジェクションのタイプ別にご紹介します。
- シングルポイントインジェクション車：
- インジェクターの単体交換費用は、約23,000円から28,000円程度です。
- マルチポイントインジェクション車：
- インジェクターの交換費用は、約100,000円から140,000円程度です。マルチポイントインジェクション車は、各シリンダーに個別のインジェクターが備わっているため、交換費用が高くなります。
- 直噴式インジェクション車：
- インジェクターの交換費用は、約190,000円から320,000円程度です。直噴式インジェクション車は、燃料をシリンダー内部に直接噴射するため、高圧のインジェクターが使用されるため、交換費用が高くなります。
シングルポイントインジェクション車は初期の方式であり、現代の一般的な乗用車では、マルチポイントインジェクション車または直噴式インジェクション車が主流となっています。
インジェクターの交換時期
インジェクターの交換時期は、新車時から10万km走行時、もしくは10年目安とされています。ただしこれはあくまで目安で、エンジンの始動性などのコンディション次第では、それより早く交換時期がやってくることもあります。走行時の機能に障害が出るほどのインジェクター消耗が始まったら、できるだけ早く交換しましょう。
交換する際の注意点
インジェクションの交換を行う際には、以下の注意点に留意する必要があります。
- 正確な診断：インジェクションの不具合や故障の原因を正確に診断することが重要です。燃料系統や電気系統の他の要素に問題がある場合、インジェクションの交換が必要ない場合もあります。専門の整備士に相談し、正確な診断を受けることをおすすめします。
- オリジナルパーツの使用：インジェクションの交換を行う場合、可能な限りオリジナルのパーツを使用することが重要です。オリジナルパーツは車の仕様に合わせて設計されており、品質や耐久性が保証されています。
- 適切な取り扱いと取り付け：インジェクションの取り扱いや取り付けは、専門的な知識と経験が必要です。正確なトルク設定やシールの交換など、適切な手順を守って行うことが重要です。誤った取り付けはインジェクションや他の車の部品に損傷を与える可能性があります。
車両関係の仕事を探すなら、ジョブ派遣
車関係のお仕事をお探しの方は、ぜひ「ジョブ派遣」をご活用ください。ジョブ派遣は、派遣会社（株式会社日輪）が運営している求人サイトで、車関係の製造業・派遣社員のお仕事を中心にご紹介しています。独自の研修もご用意していますので、工場勤務が初めての方も安心してご応募いただけます。
まとめ
このコラムでは、インジェクターについて説明しました。インジェクターは車の重要な装置であり、スムーズな走行やパワフルなエンジン、燃費の向上に大きく関わります。もしエンジンの調子が悪いと感じた場合、それはインジェクターの不調が原因かもしれません。そのような場合は、早めに専門の業者に相談し、適切な対処を行いましょう。
