【3級・2級】QC検定とは?合格率・難易度・出題範囲について解説
2024年8月21日更新
資格がなくても工場勤務をすることはできますが、より好待遇で働くため、また将来のキャリアアップを狙うためには資格があったほうが有利です。今回は、工場勤務をする人におすすめの資格として「QC検定」をピックアップ。3級・2級の難易度や合格率、出題範囲などを解説していきます。
QC検定とは?
QC検定とは、品質管理(Quality Control)に関する知識・能力を認定するために設けられている民間検定で、一般財団法人日本規格協会が認定するものです。
品質管理は、製品・サービスの質を向上させることで、顧客のニーズを満たすためにおこなう取り組みです。品質管理の能力を認定するQC検定は、製造業だけにとどまらず、接客業などのあらゆるサービスを提供するすべての人にとって役立つ資格だと言えるでしょう。
QC検定は2005年にスタートした検定ですが、品質管理の重要性の高まりから年々、受検者数が増加しています。工場などにおける品質管理の求人では、QC検定取得者が優遇されるケースも少なくありません。
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QC検定は、製造業(メーカー)で活躍するための資格です。仕事をしながらでも取得できる資格です。 |
QC検定はどんな人が受検対象?
QC検定は、品質管理のレベルによって4つの級が設けられています。以下のとおり、級ごとに求められる知識・能力レベルと、受検対象になる人が定められています。
▼1級/準1級
QC検定1級/準1級は、組織内で発生する様々な問題に対して、品質管理の側面からどのようにすれば解決や改善ができるかを把握しており、それらを自分で主導していくことが期待されるレベルです。
QC検定1級/準1級の受検対象とされているのは、部門横断の品質問題解決をリードできるスタッフ、品質問題解決の指導的立場の品質技術者です。
▼2級
QC検定2級は、一般的な職場で発生する品質に関係した問題の多くをQC七つ道具、および新QC七つ道具を含む統計的な手法も活用して、自らが中心となって解決や改善をしていくことができ、品質管理の実践についても、十分理解し、適切な活動ができるレベルです。
QC検定2級の受検対象とされているのは、自部門の品質問題解決をリードできるスタッフ、品質にかかわる部署(品質管理、品質保証、研究・開発、生産、技術)の管理職・スタッフです。
▼3級
QC検定3級は、QC七つ道具については、作り方・使い方をほぼ理解しており、改善の進め方の支援・指導を受ければ、職場において発生する問題をQC的問題解決法により、解決していくことができ、品質管理の実践についても、知識としては理解しているレベルです。
QC検定3級の受検対象とされているのは、業種・業態にかかわらず自分たちの職場の問題解決をおこなう全社員(事務、営業、サービス、生産、技術を含むすべての方々)、品質管理を学ぶ大学生・高専生・高校生です。
▼4級
QC検定4級は、組織で仕事をするにあたって、品質管理の基本を含めて企業活動の基本常識を理解しており、企業などでおこなわれている改善活動も言葉としては理解できるレベルです。
QC検定4級の受検対象とされているのは、初めて品質管理を学ぶ人や新入社員、社員外従業員、初めて品質管理を学ぶ大学生・高専生・高校生です。
QC検定3級・2級の受検資格など
QC検定に受検資格はありません。どんな人でも、どの級からでも受検することができます。QC検定を就職や転職に活かすのであれば、3級もしくは2級の取得をおすすめします。
QC検定3級・2級の受検にかかる費用と受検場所
QC検定の受検費用(個人で申し込む場合)は以下のとおりです。
2級:6,380円
3級:5,170円
QC検定は、全国の主要都市にておこなわれており、そのなかから好きな受検地を選ぶことができます。第35回QC検定は、以下の場所・都市にて実施される予定です。
札幌市/苫小牧市/青森県/宮城県/秋田県/福島県/茨城県/栃木県/群馬県/埼玉県/千葉県/東京23区/神奈川県/新潟県/富山県/石川県/福井県/山梨県/長野県/岐阜県/静岡市/浜松市/豊橋市/西三河/名古屋市/三重県/滋賀県/京都府/大阪府/兵庫県/奈良県/鳥取県/島根県/岡山県/広島県/山口県/徳島県/香川県/愛媛県/福岡県/佐賀県/長崎県/熊本県/大分県/鹿児島県/沖縄県
なお、QC検定の受検地を選ぶことはできますが、試験会場は公表されておらず、具体的な試験会場は受検票が届くまで分かりません。また、受検地や試験会場は開催回ごとに異なります。
QC検定3級・2級の試験日程・募集期間
QC検定は年に2回、3月と9月に実施されます。3月の試験は前年の12月頃に、9月の試験は6月頃に募集が始まります。
QC検定3級の難易度・合格率
QC検定3級の合格基準は、「手法分野」と「実践分野」、それぞれの得点が概ね50%以上であること、および総合得点が概ね70%以上であることです。
QC検定3級はそれほど難易度は高くありませんが、合格するためには、100時間程度の学習時間が必要だとされています。1日に3時間程度の学習をすると考えた場合、最低でも1ヶ月の学習期間を確保する必要があります。QC検定3級の直近5回の受検者・合格者・合格率は以下のように推移しています。
QC検定3級 | 受検者 | 合格者 | 合格率 |
第30回(2020年9月) | 24,435人 | 13,120人 | 53.69% |
第31回(2021年3月) | 21,152人 | 11,094人 | 52.45% |
第32回(2021年9月) | 16,644人 | 9,053人 | 54.39% |
第33回(2022年3月) | 22,971人 | 14,743人 | 64.18% |
第34回(2022年9月) | 26,633人 | 14,486人 | 54.39% |
QC検定2級の難易度・合格率
QC検定2級の合格基準は、「手法分野」と「実践分野」、それぞれの得点が概ね50%以上であること、および総合得点が概ね70%以上であることです。合格基準は3級と変わりませんが、複雑な計算問題が増えるため、難易度は3級よりも高くなります。
QC検定2級に合格するためには、個人差はあるものの、200時間程度の学習時間が必要だとされています。1日に3時間程度の学習をすると考えた場合、最低でも2ヶ月の学習期間を確保する必要があります。QC検定2級の直近5回の受検者・合格者・合格率は以下のように推移しています。
QC検定2級 | 受検者 | 合格者 | 合格率 |
第30回(2020年9月) | 9,617人 | 2,657人 | 27.63% |
第31回(2021年3月) | 7,844人 | 3,799人 | 48.43% |
第32回(2021年9月) | 5,594人 | 2,480人 | 44.33% |
第33回(2022年3月) | 8,342人 | 1,983人 | 23.77% |
第34回(2022年9月) | 8,843人 | 2,231人 | 25.23% |
QC検定3級の出題範囲
QC検定3級の出題範囲や内容は以下のとおりです。
試験範囲
★品質管理の実践
- QC的ものの見方・考え方
- 品質の概念【定義と基本的な考え方】
- 管理の方法
- 品質保証:新製品開発【定義と基本的な考え方】
- 品質保証:プロセス保証【定義と基本的な考え方】
- 品質経営の要素:方針管理【定義と基本的な考え方】
- 品質経営の要素:日常管理【定義と基本的な考え方】
- 品質経営の要素:標準化【言葉として】
- 品質経営の要素:小集団活動【定義と基本的な考え方】
- 品質経営の要素:人材育成【言葉として】
- 品質経営の要素:品質マネジメントシステム【言葉として】
★品質管理の手法
- データの取り方とまとめ方
- QC七つ道具
- 新QC七つ道具【定義と基本的な考え方】
- 統計的方法の基礎【定義と基本的な考え方】
- 管理図 ・工程能力指数 ・相関分析
QC七つ道具、新QC七つ道具とは?
QC検定3級に合格するために押さえておくべきなのが、「QC七つ道具」と「新QC七つ道具」です。
製造現場では、製品の製造工程や品質に関する様々なデータを取得しますが、これらのデータをそのままの状態で見ていても、品質上の課題を抽出することはできません。解決すべき課題を抽出し、その要因を特定するためには、データを項目に分けて整理するなどデータの相関関係を分析する必要があります。このときに役立つ手法がQC七つ道具です。具体的には、以下の七つの手法のことを言います。
- パレート図
- 特性要因図
- チェックシート
- ヒストグラム
- 散布図
- グラフ
- 層別
また、新QC七つ道具とは、数値では表せない定性的な言語データ(アイデアや知識、経験など)を整理、図形化、図表化することによって問題の抽出・解決を図る品質改善の手法です。具体的には、以下の七つの手法のことを言います。
- 親和図法
- 連関図法
- 系統図法
- マトリックス図法
- アローダイアグラム法
- PDPC法
- マトリックス・データ解析法
データの取り方
データを取るときに重要なのは、「このデータは何のために取るのか?」という目的を把握しておくことです。目的が明確になっていないままデータを取ると、重要度の高いデータを見落としてしまったり、逆に不要なデータを取ってしまったりすることがあります。このようにデータの精度が低いと、課題を見誤ったり、問題に対して誤った解決策を出したりすることになりかねません。また、データを取るときは、対象となる母集団の一部をサンプリングしますが、サンプリングが偏っていると正しい分析ができません。そのため、必ずランダムサンプリングをおこないます。
データを取るときは、履歴を残しておくことも重要です。誰が見ても分かるように残しておくのがポイントであり、そのためには「When:いつ」「Where:どこで」「Who:だれが」「What:何を」「Why:なぜ」「How:どのように」という「5W1H」でまとめるのが基本です。
よく出る問題
QC検定3級の問題は、上述した出題範囲からまんべんなく出題されますが、特に多いのはQC七つ道具に関する問題です。また、「品質管理の実践」では、「QC的ものの見方・考え方」が重要なポイントになってきます。消費者のニーズや価値観を優先する「マーケットイン」の考え方と、自社の技術や設備を優先する「プロダクトアウト」の考え方は確実に押さえておきましょう。
「QCD」と「4M」も出題が多いところです。QCDは「品質(Quality)」「原価(Cost)」「納期(delivery)」という、生産3条件のことです。4Mは「材料(Material)」「機械(Machine)」「作業者(Man)」「方法(Method)」という、品質に影響を与える4要素のことです。
QC検定3級の問題例は、日本規格協会グループのWebサイトで公開されています。
QC検定2級の出題範囲
QC検定2級の出題範囲や内容は以下のとおりです。
試験範囲
★品質管理の実践
- QC的ものの見方・考え方
- 品質の概念
- 管理の方法
- 品質保証:新製品開発【定義と基本的な考え方】
- 品質保証:プロセス保証【定義と基本的な考え方】
- 品質経営の要素:方針管理
- 品質経営の要素:機能別管理【言葉として】
- 品質経営の要素:日常管理
- 品質経営の要素:標準化【定義と基本的な考え方】
- 品質経営の要素:小集団活動
- 品質経営の要素:人材育成【定義と基本的な考え方】
- 品質経営の要素:診断・監査【定義と基本的な考え方】
- 品質経営の要素:品質マネジメントシステム【定義と基本的な考え方】
- 倫理・社会的責任【言葉として】
- 品質管理周辺の実践活動【言葉として】
★品質管理の手法
- データの取り方とまとめ方
- 新QC七つ道具
- 統計的方法の基礎
- 計量値データに基づく検定と推定
- 計数値データに基づく検定と推定
- 管理図
- 抜取検査
- 実験計画法
- 相関分析
- 単回帰分析
- 信頼性工学
よく出る問題
QC検定2級では、QC七つ道具など3級の出題範囲に加え、診断や監査などの内容も問われます。「品質管理の手法」では、分散などの基本統計量、仮説検定や相関分析など統計学の出題が多くなります。公式を使いこなして計算問題を解けるようにしておかなければいけません。「品質管理の実践」では長文問題が増えるため、品質管理に関する確かな知識はもちろん、読解力も必要になります。
QC検定2級の問題例は、日本規格協会グループのWebサイトで公開されています。
収入アップを求めた転職時のポイント! |
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資格や実務経験があればよりお仕事選びがしやすくなりますが、未経験の場合でも採用をする職場も多く存在します。 |
QC検定に合格するための勉強方法・コツ
テキストは2周・3周して理解する
受検する級のテキストを購入して、理解を進めていきます。テキストは、分からないところがあっても飛ばして先に進むようにしましょう。最初からすべてを理解しようとせず、まずは1周して全体像を把握し、2周目・3周目で細部まで理解していくのがポイントです。
また、分からないことがあると別のテキストを購入する人もいますが、それよりは、最初に購入した一冊に繰り返し取り組んだほうが理解が深まります。分からないところがあれば、ネットで調べて解決するように努めましょう。
過去問とテキストは並行して進める
テキストが最後まで進んでいない段階でも、過去問を解いてみることが重要です。過去問を解くことで、自分の現状のレベルを把握することができます。また、自分が理解できていない部分が明確になるので、弱点を集中的に潰していくなど、効率的に学習を進めることができます。
このようにテキストと過去問は並行して進めるのがポイントです。間違えた問題や分からない部分はテキストに戻って確認するという「往復」を繰り返すことで、確実に知識を定着させることができるでしょう。
公式を覚える
QC検定では、公式を使って解く計算問題が合否を左右することが多々あります。そのため、公式を覚えることを避けて通ることはできません。中身を理解せずに公式を覚えるのは難しいので、前提となる統計学を理解したうえで公式を覚えるのが良いでしょう。しかし、公式の中身を理解するのがどうしても難しいと感じる人は、「そういうものだ」と割り切って丸暗記する方針でも構いません。丸暗記でも正確に公式を覚えていれば、計算問題に対応することはできます。
QC検定のテキスト・電卓の選び方
テキストの選び方
QC検定のテキストは、各章ごとに演習問題があり、その章の内容について理解を深められるものが良いでしょう。おすすめは「この一冊で合格! QC検定3級(2級)集中テキスト&問題集」です。図表や事例を多用して具体的に分かりやすく解説されており、理解度をチェックできる章末問題を掲載しているほか、本番形式の模擬試験1回分も収録されています。
▼この一冊で合格! QC検定3級集中テキスト&問題集
著者:鈴木 秀男
発行:2015/8/11
出版社:ナツメ社
▼この一冊で合格!QC検定2級集中テキスト&問題集
著者:鈴木 秀男
発行:2022/11/25
出版社:ナツメ社
電卓の選び方
QC検定(1級・2級・3級)では電卓の持ち込みが認められており、電卓を使って計算問題を解くことができます。試験時間は限られているので、使いやすい電卓を選ぶことが重要です。
電卓は、「窓が大きくて数字が見やすいもの」「ボタンが大きくて押しやすいもの」「ルートの機能が備わっているもの」「12桁まで表示できるもの」「早打ち機能があるもの」といったポイントを重視して選ぶようにしましょう。もちろん、試験までに使い込んで、電卓を手に馴染ませることも重要です。なお、関数電卓の持ち込みは禁止されているので、ご注意ください。
まとめ
QC検定を取得している人は、工場などで品質管理の仕事に就く際に有利になります。キャリアアップや収入アップの意欲のある人は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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