期間工(期間従業員)とは?メリット・デメリットを初心者向けに解説
2024年8月21日更新
期間工とは、工場で期間限定で働く人のことを言います。自動車メーカーを中心に大手企業が期間工を採用しており、比較的収入が良いので注目されていますが、期間工ならではの注意点もあります。今回は、期間工のメリット・デメリットを中心に解説していきます。
期間工(期間従業員)とは?
期間工とは、期間の定めのある契約を結んで工場で働く人のことを言い、「期間従業員」とも呼ばれます。簡単に言えば、「期間限定で働く工場作業員」ということになるでしょう。通常、3~6ヶ月の有期契約を結び、契約社員として工場での作業に従事します。
期間工は比較的給料が高く、多くの企業では入社祝い金や満了慰労金が支給されるなど、待遇が良いのも魅力です。また、期間工を採用している企業の多くは寮を用意しており、家賃負担なしで住めるのもメリットの一つです。
期間工を採用している工場の多くは自動車工場ですが、その他、自動車部品工場や家電工場、電子部品製造工場などもあります。仕事内容として多いのは、自動車や自動車部品の組み立て・組付け、検査、ピッキング、プレス加工などです。
期間工(期間従業員)と派遣社員の違い
工場では、期間工と同じように多くの派遣社員が働いています。一定の期間だけ働くという点で期間工と派遣社員は似ていますが、雇用形態はまったく異なります。
期間工は、自動車メーカーなどの企業に直接雇用されますが、派遣社員は派遣会社に雇用され、自動車メーカーなどの派遣先企業に派遣されます。つまり、期間工は勤務先企業から給与の支払いを受け、派遣社員は派遣会社から給与の支払いを受けることになります。また、契約期間も若干の違いがあります。期間工の契約期間は最長で2年11ヶ月であるのに対し、派遣社員の契約期間は最長で3年間です。
期間工(期間従業員)のメリット
期間工は比較的給料が高い
期間工は比較的給料・年収が高い雇用形態であり、年収で500万円を超える人も少なくありません。期間工が稼げるのは月収水準が高いこともありますが、その他にも以下のような理由が挙げられます。
入社祝い金をもらえる
多くの企業は期間工をスムーズに採用するため、「入社祝い金」を用意しています。入社祝い金の金額や支給条件は様々ですが、入社後1週間~1ヶ月勤務することで10万円~40万円程度が支給されるのが一般的です。
満了慰労金をもらえる
多くの企業は、期間工の契約が満了するタイミングで「満了慰労金」を支給しています。満了慰労金の相場は3ヶ月ごとに10万円~20万円程度ですが、契約を更新するたびに金額が上がる傾向にあるため、何度も更新している人になると30万円以上の満了慰労金が支給されることもあります。
夜勤手当が支給される
期間工の仕事は夜勤があります。夜勤に入ると夜勤手当が支給されるため、そのぶん月給が増えます。
期間工は有給休暇を取得できる
期間工も正社員や派遣社員と同様に、要件を満たせば有給休暇を取得することができます。原則として、有給休暇は勤務開始から6ヶ月を過ぎると付与されるため、それ以降であれば取得できるようになります。ただし、ルール上は有給取得が認められていても、いつでも好きなときに休めるわけではなく、会社の雰囲気的に取得しづらいケースもあるでしょう。
期間工は社会保険に加入できる
期間工も、勤務日数や勤務時間などの要件を満たしていれば社会保険(健康保険、厚生年金保険、介護保険)に加入することができます。社会保険に加入することで、社会保険料の半額を企業に負担してもらえます。
期間工は失業保険を受給できる
期間工として契約期間を満了した場合、一定の要件を満たしていれば失業保険(失業手当)を受給することができます。期間工が失業手当を受給するためには、過去2年以内に12ヶ月以上、失業保険に加入していることが必要です。つまり、期間工として1年以上働いていれば要件を満たします。
期間工として働いていた期間が1年未満の場合、基本的に失業手当はもらえません。しかし、期間工として6ヶ月以上働いたうえで契約が満了し、次の仕事が見つからない場合は、失業保険の「特定理由離職者」として失業手当を受給できる可能性があります。
期間工は学歴不問・未経験歓迎の求人が多い
期間工の仕事は簡単な作業が多いため、企業は学歴・職歴不問で求人募集をしています。高校・大学・専門学校に行っていない人でも採用されますし、自動車工場など工場勤務の経験がない人でも働くことができます。
期間工は寮を利用できる
期間工を採用する企業のほとんどは、全国から人材を確保するために寮を完備しています。期間工向けの寮は以下のような特徴があります。
- 寮費は基本的に無料(有料の場合でも、光熱費込みで5,000~1万円程度と賃貸物件に比べ格安)
- 光熱費の負担がない寮が多い
- 多くの寮には食堂があるので、自炊しなくても栄養バランスのとれた食事ができる
- トイレ・お風呂・食堂は共同利用が一般的だが、部屋は個室で提供される(企業によっては、ワンルームマンションを寮にしているところもある)
- エアコンや冷蔵庫、テレビやカーテン、寝具などの家電・家具は備え付けられている
- 工場に近い場所にある、もしくは工場までの送迎バスが出ている寮が多いので通勤が楽(通勤時間がほとんどかからない)
期間工向けの寮に入ることで毎月の生活費を大幅に節約できるので、まとまった金額を貯金に回すことができるでしょう。
期間工(期間従業員)のデメリット
期間工は契約期間が決まっている
期間工は、期間の定められた有期雇用契約で働きます。契約が更新される可能性もありますが、最長でも2年11ヶ月しか働くことができません。また、2年11ヶ月が経過して辞めた場合、向こう6ヶ月間は同じ企業で働くことができません。そのため、期間工を続けるにしても他の企業を探す必要があります。契約が更新されなかったら職を失うことになるため、「この次、どうしよう・・・」という不安は常につきまとうでしょう。
期間工は楽に稼げるわけではない
期間工は自分で配属先を選ぶことができません。配属先によっては力仕事やきつい体勢での仕事、常に動き回っている仕事に従事するケースもあり、身体的にきついと感じることも多いようです。身体的に負担の少ない仕事でも、期間工の仕事は基本的にラインでの単純作業です。単純作業を延々と繰り返すことに嫌気が差し、精神的にきついと感じる人もいるようです。
また、自分のミスでラインを止めてしまう可能性もあるため、「ミスができない」というプレッシャーもありますし、時間に追われるプレッシャーもあります。このように、期間工の仕事は身体的にも精神的にも負荷がかかります。決して楽に稼げる仕事ではないということは認識しておきましょう。
期間工は夜勤が多く、体調管理が難しい
期間工の勤務体制は昼夜交替制が基本です。配属されるラインによっては三交替制の場合もあります。いずれにしても、夜勤と日勤の交替勤務では生活リズムをキープするのが難しく、睡眠不足から疲れやストレスが溜まりやすくなります。その結果、体調を崩してしまう人も少なくありません。体調管理が難しいのは期間工のデメリットの一つだと言えるでしょう。
期間工はローンの審査に通りにくい
期間工は有期雇用契約で働くため、契約が更新されなければ職を失うことになります。その意味で、正規雇用の社員に比べると社会的信用度は低いと言わざるを得ません。そのため、住宅ローンやマイカーローンなど返済が長期にわたるローン契約は審査に通りにくくなります。
期間工(期間従業員)にはどんなスキルが必要?
期間工の仕事は、誰でもできる単純作業がメインです。短期間での雇用が前提になっているので、高度な技術を要する作業や複雑な作業を任されることはありません。そのため、特別なスキルや経験を持っていなくても期間工になることができます。
ただし、工場勤務で役立つ資格を持っていると仕事の幅が広がるため、好条件で働きやすくなります。フォークリフトの免許や溶接系の資格などは取得しておいて損はないでしょう。
>> フォークリフト免許の取得方法!費用や期間、試験内容から活用できる職種まで-ジョブ派遣
>> アーク溶接資格の取り方は?種類や条件、費用や難易度などを解説-ジョブ派遣
期間工(期間従業員)の健康診断では何をチェックするの?
期間工を採用する企業からすると、採用した人が病気や体調不良になると工場のラインが止まるなどして、生産計画に影響が及ぶリスクがあります。このようなリスクを回避するため、期間工の採用にあたっては健康診断がおこなわれるのが一般的です。健康診断では以下のような項目がチェックされます。
- 身長・体重・腹囲・BMI・体脂肪率
- 血圧
- 血液検査
- 視力・聴力
- 尿検査
- 握力
- 胸部レントゲン
- 心電図
- 問診
たとえば、血圧が高い、BMIが高い、コレステロールが高い、不整脈があるなど、検査結果や数値に異常が認められた場合は不採用になる可能性があります。なお、期間工は「物を握って持つ」作業が多いため、握力もチェックポイントの一つになりますが、著しく低くない限り、それだけで不採用になることはないでしょう。
期間工(期間従業員)の髪型や服装について
工場では数多くの人が働いているため、期間工も職場の秩序を守る必要があります。とはいえ、顧客などと接する仕事ではないので、髪の色や髪型、服装などは過度に派手なものでなければ問題はないでしょう。ただし、タトゥーは例外です。タトゥーを入れている人をNGとしている企業は少なくありません。隠して入社しようとしても健康診断で判明するため、タトゥーを入れている人は正直に伝え、相談してみるのが良いでしょう。
期間工(期間従業員)の生活にかかる費用
期間工のほとんどは寮で生活することになります。基本的に、寮費は無料で家具や家電も備え付けですし、食堂ではお手頃な値段でバランスの取れた食事をすることができます。また、寮は工場から近い場所にあるか、工場までの送迎バスが出ているのが一般的です。
このように、期間工の寮生活では家賃や光熱費、食費や交通費を大幅に削減することができます。個人差はありますが、生活費として月々2~3万円あれば過ごすことができるでしょう。単純計算で、月収が20万円なら17~18万円、月収が30万円なら27~28万円は貯金に回すことができます。
期間工(期間従業員)の生活に必要な持ち物
期間工の寮は家具・家電が備え付けで、生活するうえで最低限必要な備品も揃っています。入寮する際は、以下のようなものを用意していけば問題なく生活ができるでしょう。
- シャンプー・ボディソープ
- 歯ブラシ・歯磨き粉
- ドライヤー
- 髭剃り
- 食器類
- プライベート用の洋服・靴 など
期間工(期間従業員)は契約満了後どうなるの?
期間工は3~6ヶ月の有期契約で働き、契約が更新されるケースもありますが、最長でも2年11ヶ月しか働くことができません。契約期間が満了した後の選択肢としては、「他の企業の期間工として働く」「同じ企業の正社員になる」「工場以外の仕事に就く」などが挙げられますが、もっとも多いのは他の企業の期間工になることです。
同じ企業の期間工として働きたいという人もいますが、ルール上、契約期間満了から6ヶ月間は同じ企業で働くことはできません。どうしても同じ企業で働きたい場合は、6ヶ月が経過してから、再び同じ企業の期間工に応募する必要があります。
期間工(期間従業員)から正社員になるには?
期間工を採用している企業は「正社員登用試験」を設けているところも多くあります。正社員登用試験を受けるための条件は企業によって異なりますが、よくあるパターンは「期間工として1年以上の勤務」、および「上司の推薦」です。
条件を満たしている人は通常、筆記試験と面接試験を受験します。これらの試験の結果に加え、日頃の勤務状況や勤務態度、仕事のスピードやクオリティ、周囲とのコミュニケーションなどが評価され、総合的に正社員登用の可否が決められます。
まとめ
工場派遣は期間工よりも給与水準が高く、短期で見れば期間工よりも高収入が期待できます。寮生活に抵抗がある人や、夜勤で働きたくない人は工場派遣のほうが向いているでしょう。
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