自動車におけるトランスミッションとは?原理や種類別の特徴などを徹底解説!
2024年8月21日更新
自動車には複雑な構造のトランスミッションが装備されています。
乗り心地にも大きな影響を与えるトランスミッションには、MTやAT、CVT、DCT、AMTなどの種類があります。
本記事では、トランスミッションの基礎知識や種類、ギアの種類などについて解説します。
トランスミッションとは?
「トランスミッション」は、自動車においてエンジンから出力された力を適切に調整し、タイヤに伝達するための重要な装置です。文字通り、英語の「transmit」が示すように、「伝達する」もの、つまりエンジンのパワーを効率良く車輪に伝達する役割を担っています。
トランスミッションは、種類や構造により運転の感触や乗り心地に大きな影響を与えます。例えば、マニュアルトランスミッション(MT)では、ドライバーが直接ギアを操作し、自身の意志で車の性能を引き出すことが可能です。一方、オートマチックトランスミッション(AT)では、車が自動的に最適なギアを選択し、ドライバーはアクセルとブレーキの操作に専念できます。これにより、特に渋滞や狭い道路などのストレスフルな運転状況での負担が軽減され、快適な乗り心地を提供します。
トランスミッションの原理は?
トランスミッションは、エンジンの力を車輪に伝える仕組みで、歯車同士のかみ合いを利用しています。
たとえば、大きな歯車が小さな歯車を回すと、小さな歯車は速く回るけれど力は弱く、逆に小さな歯車が大きな歯車を回すと、大きな歯車は力強く回ることができます。
この原理を利用したものがトランスミッションです。
トランスミッションは、車が発進するときや坂道を登ったり降りたりするときに力を必要とし、高速で走るときには速さを増やすために回転数を上げる必要があります。また、後ろにバックするときには逆方向に回転させることが求められます。
しかし、エンジンは自由に力や回転数、回転方向を変えることができません。そこでトランスミッションが登場し、エンジンの力や回転数、回転方向を車が必要とする最適な形に変えてくれます。つまり、トランスミッションは車の動きに合わせてエンジンの力を調節し、適切な走りを実現する役割を果たしているのです。
トランスミッションの種類と特徴
トランスミッションには、以下のような種類・特徴があります。
1:MT(マニュアルトランスミッション)
マニュアルトランスミッション(MT)は、自動車やオートバイなどの車両で使われるトランスミッション(変速機)の一種で、ドライバーが手動でギアを切り替えることで、エンジンの回転数と車輪の回転数の比率を変えるシステムです。これにより、エンジンの出力を効率的に利用し、車両の速度や加速性能を調整することができます。
MTでは、ドライバーがクラッチペダルを操作してエンジンとトランスミッションを一時的に切り離し、ギアシフトレバーを動かしてギアを変更します。そして、クラッチペダルを緩めることで、エンジンとトランスミッションが再び接続され、新しいギア比で動力が伝達されます。
2:AT(オートマチックトランスミッション)
オートマチックトランスミッション(AT)は、自動車やオートバイなどの車両で使われるトランスミッション(変速機)の一種で、ドライバーが手動でギアを切り替えることなく、自動的に適切なギアに変速するシステムです。エンジンの回転数と車輪の回転数の比率を自動的に変えることで、エンジン出力を効率的に利用し、車両の速度や加速性能を調整することができます。
ATは、油圧式、電子制御式、無段変速式(CVT)など、さまざまなタイプがあります。どのタイプでも、ドライバーはアクセルペダルとブレーキペダルのみを操作し、トランスミッションが自動的に適切なギアを選択します。これにより、運転が簡単になり、特に渋滞や狭い道路での運転が楽になります。
3:CVT(無段変速機)
CVT(Continuously Variable Transmission)は、無段変速機とも呼ばれるトランスミッション(変速機)の一種で、自動車やオートバイなどの車両に使用されます。CVTは、従来のギア式トランスミッションと異なり、無数のギア比を持つことが特徴です。これにより、エンジンの回転数と車輪の回転数の比率を連続的に変化させ、エンジン出力を効率的に利用し、車両の速度や加速性能を最適化することができます。
CVTは、多くの場合、ベルトとプーリーを使って無段階に変速を行います。プーリーの幅が可変式であり、ベルトが移動することでギア比が変化します。これにより、エンジンの回転数を最適な範囲に保ちながら、車速に応じて無段階に変速が行われます。
4:DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)
デュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT: Dual Clutch Transmission)は、自動車やオートバイなどの車両で使用されるトランスミッション(変速機)の一種です。DCTは、2つのクラッチを持ち、一方のクラッチが奇数ギア(1st, 3rd, 5thなど)、もう一方のクラッチが偶数ギア(2nd, 4th, 6thなど)を操作することで、ギアの切り替えが非常に迅速かつスムーズに行われることが特徴です。
DCTは、マニュアルトランスミッション(MT)のようなダイレクトな運転感覚と、オートマチックトランスミッション(AT)のような運転の容易さを両立しています。運転者は、パドルシフターやシフトレバーを使って手動でギアを切り替えることもできますが、自動モードを選択することでATと同様の運転が可能です。
5:AMT(セミオートマ・トランスミッション)
セミオートマ・トランスミッション(AMT: Automated Manual Transmission)は、自動車やオートバイなどの車両で使用されるトランスミッション(変速機)の一種です。AMTは、基本的にマニュアルトランスミッション(MT)の構造を持ちながら、クラッチ操作とギアの切り替えを自動化したシステムです。これにより、運転者はギアの切り替えやクラッチ操作を手動で行うことなく、AT(オートマチックトランスミッション)のように運転することができます。
AMTは、油圧や電動アクチュエータによってクラッチ操作とギアの切り替えが自動的に行われます。運転者は、パドルシフターやシフトレバーを使って手動でギアを切り替えることもできますが、自動モードを選択することでATと同様の運転が可能です。
車のトランスミッション操作して入れられるギアの種類
自動車のトランスミッションには、さまざまなギアが存在し、それぞれの種類に応じて適切なギアを選択することが重要です。
以下はギアの種類についての解説です。
1:MTのギア
マニュアルトランスミッション(MT)のギアについて説明します。MTは、運転者が手動でクラッチペダルとギアシフトレバーを操作してギアを変更するトランスミッションです。MTのギアは、通常以下のように構成されています。
- ローギア(L):発進や、低速での走行や登坂時に使用されます。
- セカンドギア(2):加速を続けるためや、やや高速での走行に使用されます。
- サードギア(3):中速域での走行に使用され、市街地の通常の走行などに適しています。
- トップギア(4):高速道路の入口など、高速での走行に使用されます。
- オーバートップギア(5):最高速ギアで、高速道路などでの長距離走行に適しています。
また、以下の2つのギアもあります。
- ニュートラル(N):ギアが選択されていない状態で、エンジンとトランスミッションが切り離されています。停車時やエンジン始動時に使用されます。
- リバース・バックギア(R):バック走行時に使用されるギアで、車を後方に進めるために使用されます。
MTのギアは、運転者が適切なタイミングでギアを変更することで、燃費効率の向上や、エンジンの性能を最大限に引き出すことができます。また、MTは運転者が車の操作をより直接的にコントロールできるため、運転の楽しさを感じることができます。ただし、MTはクラッチ操作やギアチェンジの習熟が必要であり、初心者には難しい場合があります。
2:ATのギア
オートマチックトランスミッション(AT)のギアについて説明します。
ATは、運転者が手動でギアを変更することなく、自動的にギアが切り替わるトランスミッションです。ATの主なギアは以下のように構成されています。
- P(パーキング):車を停止させ、エンジンを停止する際に使用されるギアです。駐車時に車を固定するためのロック機能も備えています。
- R(リバース):車を後方に進めるためのギアで、バック走行時に使用されます。
- N(ニュートラル):ギアが選択されていない状態で、エンジンとトランスミッションが切り離されています。停車時やエンジン始動時に使用されます。
- D(ドライブ):通常の走行時に使用されるギアで、自動的に適切なギアが選択されます。
さらに、一部のAT車両では、以下のような追加ギアが設定されていることもあります。
- L(ロー):低速ギアを選択し、エンジンブレーキを強化するために使用されます。急な下り坂や、積雪路面などでの走行時に利用されることが多いです。
- S(スポーツ):よりアクティブな走行を楽しむためのギアで、エンジン回転数を高く保つことで加速性能が向上します。
- オーバードライブ(OD):最速ギアのことです。 5速AT車なら最高の5速にあたり、一般的にはシフトノブの横についているスイッチを押し込むことでON/OFFを切り替えられます。ODをONにしたまま走行すると、エンジン回転数を押さえながら走行できるため、燃費や運転時の静粛性を高められます。ただ山道など道路状況が悪い場所の運転には不向きです。
ATのギアは、運転者が手間をかけずに快適なドライビングを実現できるため、初心者や渋滞が多い都市部での運転に適しています。ただし、エンジンの回転数が自動的に制御されるため、MTほど運転者が車の操作を直接的にコントロールする感覚は得られません。
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まとめ
トランスミッションは、自動車の走行性能や燃費効率に大きく影響を与える重要な部分です。MT、AT、CVT、DCT、AMTといったさまざまな種類のトランスミッションが存在し、それぞれに特徴と利点があります。
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