牽引免許(けん引免許)とは?種類や取得方法・条件、試験内容、かかる費用などを解説
2024年8月21日更新
牽引免許とは、車両を牽引するために必要な免許です。本記事では、牽引免許の必要性、取得方法、試験内容、取得費用、コツ・ポイントなどを解説します。
牽引免許(けん引免許)とは?
牽引免許(けんいんめんきょ)は、日本における自動車運転免許の一種で、車両を牽引(けんいん)するための免許です。具体的には、トレーラーやキャンピングカー、農耕用具など、自走しない車両を牽引するために必要とされます。
牽引免許には、普通自動車免許(普通二輪免許を持っている場合は除く)を取得した後、追加で取得する必要があります。また、大型車や重量超過車両を牽引する場合は、それぞれの免許が必要になります。
牽引免許(けん引免許)が必要な場合といらない場合の違いは?
牽引する対象が、普通自動車や軽自動車の場合は牽引免許は不要です。しかし、車両重量が750Kgを超える車両、大型自動二輪車などを牽引する場合は、必ず牽引免許が必要になります。
牽引免許(けん引免許)を取得するメリットはある?
牽引免許を持っていると、トラック運転手や牽引車運転手などの職業選択肢が広がります。農業や建設業などでも、重機や農耕用具を牽引する必要がある場合には、牽引免許が必要になることがあります。
また、牽引免許を持っていると、牽引する車両の特性や運転方法について理解が深まります。そのため、運転中に起こりがちな牽引車両との接触事故や転倒事故などのリスクを減らすことができます。
以上のように、牽引免許を取得することには、職業選択肢の拡大や交通事故のリスクの低減など、様々なメリットがあります。
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牽引免許(けん引免許)の種類
牽引免許(けん引免許)には3つの種類があります。それぞれの免許によって、牽引できる重量や取得における制限が異なるため、以下に紹介します。
1:牽引免許(第一種免許)
牽引免許(第一種免許)は、貨物トレーラーやキャンピングカー、台車に乗せた荷物など「車両総重量が750kgを超える車」をけん引する場合に必要な運転免許証であり、一般的に牽引免許といえばこの免許を指します。
満18歳以上で普通免許・準中型免許・中型免許・大型免許・大特免許のいずれかを保有していなければ取得できません。
また、視力や聴力にも一定以上のレベルが求められますが、事前に対策をしておけば問題なくクリアできる検査です。
2:牽引自動車第二種免許
牽引第二種免許は、営利目的で人を乗せて運ぶことができる点が特徴で、電車のように連結できるトレーラーバス(観光バス)の運転に必要な免許です。
しかし、日本ではそういった自動車はほぼ走っておらず実用性はゼロに等しいですが、もっとも取得が難しい免許といわれ自分の運転技術を確かめるという目的で、毎年ある一定数の受験者がいるようです。
受験資格は満21歳以上で、第一種運転免許のいずれかを取得後通算3年以上、かつ牽引第一種免許もしくは第二種運転免許を受けていることが求められます。
3:牽引小型トレーラー限定免許
牽引小型トレーラー限定免許は、750キロ~2000キロ未満のトレーラー限定で牽引できる免許で、これにはバイクや小型自動車などに取り付けることができる小型トレーラーが含まれます。
この免許を取得する際は、自動車教習所では講習や試験を受けられないので、事前に運転免許試験場に連絡し、試験車両を持ち込む必要があります。
大型トレーラーや自動車を牽引するための免許ではありませんが、取得しておいて損のない免許でしょう。
牽引免許(けん引免許)の取得条件について
満18歳以上で普通免許、中型免許、大型車免許、大型特殊免許、二種免許のうちいずれかを所持している方が対象です。(牽引自動車第二種免許は満21歳以上)
視力:両眼で0.8以上、かつ、1眼で、それぞれ0.5以上であること
※メガネやコンタクトレンズなどの視力矯正器具の使用可
色彩識別能力:赤色、青色及び黄色の識別ができること
深視力:三桿法の奥行知覚検査器により、2.5メートルの距離で3回検査し、その平均誤差が2センチメートル以下であること
※深視力とは、物の遠近感・立体感・奥行をとらえる目の能力のこと
聴力:10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえるものであること
※ 補聴器により補われた聴力を含む
運動能力:自動車等の運転に支障を及ぼす恐れのある四肢又は体幹の障害がないこと
自動車等の運転に支障を及ぼす恐れのある四肢又は体幹の障害があるが、その者の身体の状態に応じた補助手段を講ずることにより自動車等の運転に支障を及ぼす恐れが無いと認められるものであること
牽引免許を取得する方法1:教習所(通学)
教習所で牽引免許(第一種)を取得する手順は以下のとおりです。免許取得者の受講ペースによって異なるため、期間には個人差があります。一般的には、最短で6日間ほどで卒業できます。
- 指定の教習所に入学する。
- 適性検査・運転適性検査を受ける(視力・聴力検査など)。
- 技能卒業検定を受ける(12時間)。
- 試験場で適性検査を受ける(視力検査など)。
- 牽引免許証を交付される。
牽引免許(第一種免許)を取得するには、最短12時間の技能試験を受ける必要があります。試験は技能試験のみで、学科試験はありません。
平均費用
教習所によって費用が異なりますので、詳しくは各教習所・試験場にお問い合わせください
種類 | 金額 |
牽引免許(第一種免許) | 172,700円 |
後述しますが、牽引自動車第二種免許・牽引小型トレーラー限定免許を取る際は講習が不要のためこちらでは省略します。
牽引免許を取得する方法2:教習所(合宿)
合宿免許に参加して取得する場合、教習内容は通学と同じです。
合宿では短期間で卒業できように効率よく教習のカリキュラムが組まれていますので、最短で6日程度で取得可能です。
また、合宿免許では牽引免許と同時に大型や大型特殊を取得できるコースもありますので、同時に取得することを考えている方にもオススメです。
平均費用
合宿で免許を取得するメリットの一つに、費用が安く済むということがあります。
合宿の料金には教習料金のほか、宿泊費、食事代、交通費も含まれていたりとオトクになることがありますので、選択肢のひとつとして入れておくとよいでしょう。
種類 | 金額 |
牽引免許(第一種免許) | ¥126,940 |
牽引免許を取得する方法3:一発試験
牽引免許(第一種)は、免許試験場にて直接技能試験を受けることも可能です。
一発試験は費用が安く済むことがメリットですが、合格率が低く何度も挑戦することになる可能性があります。
牽引自動車第二種免許は教程が定められていない免許のため、教習所に通う必要はなく取得方法は運転免許試験場で直接的に技能検定を受けるという方法のみです。
技能検定では実技試験がありますが、実技試験の内容は基本的にけん引第一種免許と同じ内容となっています。
牽引小型トレーラー限定免許を取得するにも、教習所に通う必要はなく取得方法は運転免許試験場で直接的に技能検定を受けるという方法のみです。
しかし、運転免許試験場に連絡して、牽引免許を持っている人に頼み自前の試験車両を持ち込み試験する必要がありますので注意しましょう。
平均費用
種類 | 料金 |
牽引免許(第一種免許) | 約6700円 |
牽引自動車第二種免許 | 約6700円 |
牽引小型トレーラー限定免許 | 約6700円 |
申請手数料、車両使用料、免許の交付手数料といった諸々の費用を含めた金額です。
一発試験を何度も受け低コストで免許を取得するという方法もありますが、公道を走る可能性がある以上しっかりと教習所で講習を受けることも大切です。
牽引免許(けん引免許)の試験内容は難しい?
牽引免許(けん引免許)の試験内容は、運転技術や交通ルールなど、普通自動車免許の試験内容に近いものがありますが、牽引車の操作に関する部分が加わるため、一般的には普通自動車免許の試験よりも難しいとされています。
実技試験では、安全かつ正確に牽引車を運転する技術が求められるため、牽引免許の試験内容に慣れていない人にとっては難しい部分もあるかもしれませんが、適切な教習を受けて、十分に準備をすることで、試験に合格することができます。また、教習所や運転学校では、試験に向けた対策やアドバイスを提供している場合があるので、利用することも一つの方法です。
牽引免許(第一種免許)の試験内容と難易度・合格率
牽引免許の試験は、減点方式で行われます。
100点満点から始まり、70点以上であれば合格です。
実際に採点される試験項目は、「右折左折」「指定場所での停車」「速度」「S字走行」「方向転換」「踏切通過」です。この中で特に難しいとされているのが、方向転換です。
方向転換とは、車庫入れの要領で牽引車をバックし、車体を一直線の状態にすること。
牽引車の場合、方向転換のハンドル操作がとても難しいと言われています。牽引車はバックをして、ハンドルを左の道路へ侵入したい場合、ハンドルを左に切るのではなく、初めは逆の右に切らなければいけません。そうすることで被牽引車が押し出されて、うまく左の道路に入ることができます。その後、ある程度被牽引車が入った後にハンドルを左に切って連結部分を真っ直ぐに戻していきます。
牽引一種免許の合格率は80%程度です。牽引免許は難しいというイメージですが、意外と高い合格率とではないでしょうか。しかも、合格者の約8割は教習所を卒業した人たちといった結果となっています。
牽引自動車第二種免許の試験内容と難易度・合格率
牽引二種免許の合格率は、約20%と牽引一種と比べると大変低い数値となっています。
教習所での技能講習などが受けられないといったところが、この低い合格率の要因だと考えられており、合格までの平均受験回数は4回~5回となっています。
ですが、実は「第二種牽引」の実技試験の内容は、「第一種牽引」とまったく同じ内容です。
では、どうして合格点のハードルが高いのかというと、「第一種牽引」が70点で合格になるのに対して、「第二種牽引」の場合には80点以上で合格とされているからです。
たった10点の違いですが、減点方式で行われる実技試験においては、ちょっとしたミスで10点や20点減点されたりしますので、10点の違いはかなりハードルが高いといえます。
牽引免許(けん引免許)を取得するコツ・ポイントは?
前進時は車幅の把握を意識する
牽引車を前進させる際は、自分の車の車幅だけでなく、牽引車の車幅も意識して運転することが大切です。特に、左右のクリアランスが狭い場所や、車両と車両の間に入り込む場合は注意が必要です。
バックの修正は小刻みにおこなう
牽引車をバックで操作する際は、大きくハンドルを切らず、小刻みに修正を加えることが大切です。また、周囲の状況を確認し、安全に操作を行いましょう。
教習に真剣に取り組むこと
牽引免許は、普通自動車免許と比べて取得難易度が高いため、教習に真剣に取り組むことが重要です。教習時間をしっかり確保し、練習や講義に積極的に参加して、知識や技術を身に付けましょう。また、教習所や運転学校の提供する模擬試験を利用して、試験に備えることも大切です。
送迎ドライバーという仕事。 |
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車の運転を仕事にしたいと考える方は多いでしょう。 |
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取得難易度の高い牽引免許(けん引免許)ですので、何度挑戦しても取得できないといった悩みのある方や、そもそも仕事に生かせるか分からず受験を迷っているという方もいるかと思います。
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まとめ
今回は、牽引免許(けん引免許)について紹介しました。
簡単に取得できる免許ではないですが、ぜひチャレンジしてみてください。
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