クレーンの資格の種類とは?運転・作業に必要な資格の受験難易度・費用などを解説!

2024年4月17日更新

クレーンの資格の種類とは?運転・作業に必要な資格の受験難易度・費用などを解説!

クレーン関連の資格を取得することは、転職や就職において有利な要素となります。建設業界に限らず、物流業界や製造業界などでもクレーンを使用する場面は多いので、幅広い業界への就職・転職が可能になります。もちろん、同じ企業でキャリアアップすることを考えても、クレーン関連の資格を取得することでチャンスは増えるでしょう。
今回は、各種クレーン資格の種類や、それぞれの概要、試験内容や難易度などについて解説してきます。

スタッカークレーンとは?他のクレーンとの違い

スタッカークレーンは、倉庫や物流施設での荷物の保管や取り出しに用いられるクレーンの一種です。他のクレーンと異なり、立体的な倉庫内で効率的に荷物を運搬し、棚に積み上げる役割を果たします。

「クレーン等安全規則」では、クレーンとは以下の2つの条件を満たす機械装置のうち、移動式クレーンやデリック以外のものと定義されています。

  1. 荷物を動力で吊り上げる(人力で吊り上げる場合は含まない)
  2. 荷物を水平に運搬するための機械装置(人力によるものも含む)

したがって、荷物の吊り上げのみを行う機械装置はクレーンとはみなされません。また、荷物の吊り上げを人力で行い、水平移動を動力で行うものもクレーンには含まれません。しかし、荷物の吊り上げを動力で行い、水平移動を人力で行う装置はクレーンとされます。

また、クレーンは、その用途に適するように様々な構造・形状のものがあります。一般的には、以下のように分類されます。

クレーン天井クレーンジブクレーン
橋形クレーンアンロ一ダケーブルクレーン
テルハスタッカ式クレーンその地

クレーン等の運転に必要な資格一覧

クレーン等の運転に必要な主な資格は以下のとおりです。

①玉掛け業務

玉掛けの業務に必要な資格は以下のとおりです。

つり上げ荷重による区分運転に必要な資格
・つり上げ荷重1トン以上のクレーン
・つり上げ荷重1トン以上の移動式クレーン
・つり上げ荷重1トン以上のデリック
玉掛け技能講習
・つり上げ荷重1トン未満のクレーン
・つり上げ荷重1トン未満の移動式クレーン
・つり上げ荷重1トン未満のデリック
玉掛け業務に係る特別教育

②移動式クレーン

移動式クレーンの運転に必要な資格は以下のとおりです。

つり上げ荷重による区分運転に必要な資格
つり上げ荷重が5トン以上移動式クレーン運転士免許
つり上げ荷重が1トン以上5トン未満小型移動式クレーン運転技能講習
つり上げ荷重が1トン未満移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育

③クレーン運転

クレーンの運転に必要な資格は以下のとおりです。

つり上げ荷重による区分運転に必要な資格
つり上げ荷重が5トン以上クレーン・デリック運転士免許(限定なし)
クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)
つり上げ荷重が5トン以上の床上運転式クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定)
つり上げ荷重が5トン以上の床上操作式床上操作式クレーン運転技能講習
つり上げ荷重が5トン以上の跨線テルハクレーンの運転の業務に係る特別教育
つり上げ荷重が5トン未満クレーンの運転の業務に係る特別教育

※床上運転式クレーンとは、床上で運転し、運転者がクレーンの走行とともに移動するクレーンのことです。
※床上操作式クレーンとは、床上で運転し、かつ、運転者がつり荷の移動とともに移動するクレーンのことです。

④ロープ高所作業

ロープ高所作業に必要な資格は以下のとおりです。

対象者必要な資格
ロープ高所作業従事者ロープ高所作業特別教育

ロープ高所作業の現場では、墜落による死亡災害が多発していることから労働安全衛生規則の一部が改正され、平成28年7月1日より、ロープ高所作業に従事する労働者は特別教育を修了していなければ業務に就くことができなくなりました。ロープ高所作業とは、高さ2m以上で作業床を設けることが困難な箇所において、昇降器具を用いロープで身体を保持し、おこなう作業のことを言います。

⑤高所作業

高所作業に必要な資格は以下のとおりです。

対象者必要な資格
安全帯使用作業従事者フルハーネス型墜落制止用器具を用いて行う作業に係る特別教育

労働安全衛生規則の改正によって、2019年2月1日より、墜落の危険性がある作業のうち、特に危険性の高い業務をおこなう労働者は、特別教育を修了していなければ業務に就くことができなくなりました。特に危険性の高い業務とは、高さが2m以上の作業床(一般的には足場の作業床、機械の点検台など)、手すりや囲いなどを設けることが困難な場所で、フルハーネス型安全帯を使用しておこなう作業(ロープ高所を除く)などの業務です。

5トン以上の荷重持ち上げが可能なクレーン資格の種類

5トン以上の荷重持ち上げが可能なクレーン資格(免許)の種類についてご説明します。

クレーン・デリック運転士免許(限定なし)

クレーン・デリック運転士免許(限定なし)は、つり上げ荷重が5トン以上のクレーンやデリックを運転するために必要な免許です。クレーン・デリック運転士免許(限定なし)を取得することで、つり上げ荷重が5トン以上の天井式クレーン、橋形クレーン、ジブクレーン、ケーブルクレーン、アンローダ、テルハなどを運転できるようになります。

試験の概要

難易度低い(簡単)
合格率65.9%(令和3年度)
受験資格なし
受験費用・学科試験:6,800円
・実技試験:11,100円

試験内容

▼学科試験
・クレーンおよびデリックに関する知識(10問・30点)
種類および型式/主要構造部分/つり上げ、起伏、旋回、走行、トロリの横行等の作動をする装置/安全装置/ブレーキ機能/取扱い方法
・関係法令(10問・20点)
労働安全衛生法、労働安全衛生法施行令、労働安全衛生規則、およびクレーン等安全規則中の関係条項
・原動機および電気に関する知識(10問・30点)
電動機/電流、電圧および抵抗/電力および電力量 配線、集電装置、配電盤、開閉器、コントローラ等電気を通ずる機械器具/電路の点検および補修/感電による危険性
・クレーンの運転のために必要な力学に関する知識(10問・20点)
力(合成、分解、つり合いおよびモーメント)/重心/重量/速度および加速度/荷重/応力/材料の強さ/ワイヤロープ、フックおよびつり具の強さ/ワイヤロープの掛け方と荷重との関係

▼実技試験
・クレーンの運転
重量を確認し、荷をつり上げ、定められた経路により運搬し、定められた位置に卸すこと。
・クレーンの運転のための合図
荷をつり上げ、運搬し、または卸すことについて、手、小旗などを用いて合図をおこなうこと。

クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定)

クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定)は、5トン以上の荷物を床上から操作するクレーンを運転するために必要な免許です。

試験の概要

難易度低い(簡単)
合格率45.5%(令和3年度)
受験資格なし
受験費用・学科試験:6,800円
・実技試験:11,100円

試験内容

▼学科試験
・クレーンおよびデリックに関する知識(10問・30点)
・関係法令(10問・20点)
・原動機および電気に関する知識(10問・30点)
・クレーンの運転のために必要な力学に関する知識(10問・20点)

▼実技試験
・クレーンの運転
・クレーンの運転のための合図
※試験に使用するクレーンは、つり上げ荷重が5トン以上の天井クレーンのうち、床上運転式クレーンとする。なお、当該クレーンは、原則として9つの押しボタンスイッチ(電源入、切、巻上げ、巻下げ、東、西、南、北、警報)の付いたペンダントスイッチにより操作するものとする。

移動式クレーン運転士免許

移動式クレーン運転士免許は、つり上げ荷重が5トン以上の移動式クレーンを運転するために必要な免許です。移動式クレーン運転士免許を取得することで、つり上げ荷重が5トン以上のトラッククレーン、ラフテレーンクレーン、クローラクレーン、オールテレーンクレーンなどを運転できるようになります。

試験の概要

難易度低い(簡単)
合格率64.2%(令和3年度)
受験資格なし
受験費用・学科試験:6,800円
・実技試験:11,100円

試験内容

▼学科試験
・移動式クレーンに関する知識(10問・30点)
種類および型式/主要構造部分/つり上げ、起伏、旋回等の作動をする装置/安全装置/ブレーキ機能/取扱い方法
・原動機および電気に関する知識(10問・30点)
内燃機関/蒸気機関/油圧駆動装置/感電による危険性
・関係法令(10問・20点)
労働安全衛生法、労働安全衛生法施行令、労働安全衛生規則およびクレーン則中の関係条項
・移動式クレーンの運転のために必要な力学に関する知識(10問・20点)
力(合成、分解、つり合いおよびモーメント)/重心/重量/速度および加速度/荷重/応力/材料の強さ/ワイヤロープ、フックおよびつり具の強さ/ワイヤロープの掛け方と荷重との関係

▼実技試験
・移動式クレーンの運転
・移動式クレーンの運転のための合図
※試験に使用する移動式クレーンは、つり上げ荷重が5トン以上のトラッククレーン、ホイールクレーンまたはクローラクレーンのうちいずれかとする。

揚貨装置運転士免許

揚貨装置運転士(ようかそうちうんてんし)免許は、制限(つり上げ)荷重が5トン以上の揚貨装置を運転するために必要な資格です。揚貨装置とは、船舶に設置されたデリックやクレーン設備のことを言い、これを用いて陸から船、あるいは船から陸へ貨物を積み替える港湾での作業に用いられます。

試験の概要

難易度低い(簡単)
合格率70%台~80%台
受験資格なし
受験費用・学科試験:6,800円
・実技試験:11,100円

試験内容

▼学科試験
・揚貨装置に関する知識(10問・30点)
・関係法令(10問・20点)
・原動機および電気に関する知識(10問・20点)
・揚貨装置の運転のために必要な力学に関する知識(10問・30点)

▼実技試験
・揚貨装置の運転
・揚貨装置の運転のための合図

技能講習の修了が必要なクレーン資格の種類

技能講習とは、労働安全衛生法に基づくクレーン技能の講習のことです。クレーンの資格のなかでも、技能講習の修了が求められるものについてご説明します。

小型移動式クレーン運転技能講習

そもそも移動式クレーンとは、荷を動力を用いてつり上げ、これを水平に運搬することを目的とする機械装置で、原動機を内蔵し、かつ、不特定の場所に移動させることができるものを言います。そのなかでも小型移動式クレーンは、つり上げ荷重が1トン以上5トン未満の移動式クレーンのことです。小型移動式クレーン運転の業務は「移動式クレーン運転士免許」を取得している人か、「小型移動式クレーン運転技能講習」を修了している人でなければ従事することができません。

なお、つり上げ荷重が5トン以上の移動式クレーンの運転業務は、「移動式クレーン運転士免許」を取得している人でなければ従事することができません。

小型移動式クレーン運転技能講習の科目

小型移動式クレーン運転技能講習の科目は基本的に以下のとおりですが、取得済みの資格などによっては受講が免除される科目があります。

▼学科
・小型移動式クレーンに関する知識:6時間
・小型移動式クレーン運転技能講習に係る原動機および電気に関する知識:3時間
・小型移動式クレーン運転のために必要な力学に関する知識:3時間
・関係法令:1時間
▼実技
・小型移動式クレーンの運転:6時間
・小型移動式クレーン運転のための合図:1時間

床上操作式クレーン運転技能講習

床上操作式クレーンとは、床上で運転し、かつ運転する者が荷の移動とともに移動する方式のクレーンのことです。つり上げ荷重が5トン以上の床上操作式クレーンの運転業務は「クレーン・デリック運転士免許」を取得している人、または「床上操作式クレーン運転技能講習」を修了した人でなければ従事することができません。

床上操作式クレーン運転技能講習の科目

床上操作式クレーン運転技能講習の科目は基本的に以下のとおりですが、取得済みの資格などによっては受講が免除される科目があります。

▼学科
・床上操作式クレーンに関する知識:6時間
・床上操作式クレーン運転技能講習に係る原動機および電気に関する知識:3時間
・床上操作式クレーン運転のために必要な力学に関する知識:3時間
・関係法令:1時間
▼実技
・床上操作式クレーンの運転:6時間
・床上操作式クレーン運転のための合図:1時間

玉掛け技能講習

玉掛け業務とは、クレーンや移動式クレーンなどで荷をつる際に、ワイヤロープなどの荷をつり上げるための用具の準備から、当該用具を用いてフックへ用具を掛ける作業、フックから用具を取り外す作業までの一連の作業のことを言います。玉掛け業務は、玉掛け作業者とクレーン運転者との連携作業であり、玉掛け作業を安全におこなうためには、クレーンの種類、特徴、構造、機能、安全装置などに関する理解が必要です。

つり上げ荷重が1トン以上のクレーン、移動式クレーン、もしくはデリック、揚貨装置による玉掛け作業は「玉掛け技能講習」を修了した人でなければ従事することができません。

玉掛け技能講習の科目

玉掛け技能講習の科目は基本的に以下のとおりですが、取得済みの資格などによっては受講が免除される科目があります。

▼学科
・クレーン等に関する知識:1時間
・クレーン等の玉掛けの方法:7時間
・クレーン等の玉掛けに必要な力学に関する知識:3時間
・関係法令:1時間
▼実技
・クレーン等の玉掛け:6時間
・クレーン等の運転のための合図:1時間

玉掛けの作業内容などに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

>> 玉掛けとは?作業内容やつり方一覧、必要な資格などを徹底解説

特別教育の修了が必要なクレーン資格の種類

一定の危険・有害な業務に労働者を就かせるときは、事業者は、その業務に関する安全または衛生に関する特別の教育をおこなわなければならないと定められています(労働安全衛生法第59条第3項:特別教育)。

クレーン作業は重量物を取り扱うことから、労働災害が後を絶ちません。クレーン作業にともなう労働災害の発生原因としては、運転者の不適切な運転操作によるものが多く見られます。このような労働災害を防ぐため、クレーン作業も以下のとおり、特別教育の修了が求められるものがあります。

・クレーンの運転の業務に係る特別教育
事業者は、つり上げ荷重が5トン未満のクレーン、およびつり上げ荷重が5トン以上の跨線テルハの運転業務に就かせる労働者に対し、「クレーンの運転の業務に係る特別教育」を実施しなければいけません。

・移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育
事業者は、つり上げ荷重が1トン未満の移動式クレーンの運転(道路上を走行させる運転を除く)の業務に労働者を就かせるときは、「移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育」を実施しなければいけません。

・玉掛け業務に係る特別教育
事業者は、つり上げ荷重が1トン未満のクレーン、移動式クレーン、またはデリックの玉掛け業務に労働者を就かせるときは、「玉掛け業務に係る特別教育」を実施しなければいけません。

特別教育の内容と履修時間

特別教育の内容や履修時間について、「クレーンの運転の業務に係る特別教育」を例にご説明します。

▼学科
・クレーンに関する知識:3時間
・原動機および電気に関する知識:3時間
・クレーンの運転のために必要な力学に関する知識:2時間
・関係法令:1時間
▼実技
・クレーンの運転:3時間
・クレーンの運転のための合図:1時間

特別教育の受講にかかる費用

特別教育の受講費用は12,000円~20,000円程度です。

特別教育の難易度

特別教育は受講することで修了できるため、難易度は低く、受講者のほぼ100%が修了できます。

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まとめ

このコラムを通じて、クレーンに関連する多様な資格やその取得方法についてご紹介しました。クレーンの運転や操作に関わる仕事は、多くの産業で重要な役割を果たしており、適切な資格を持つことは、安全かつ効率的な作業を保証するために不可欠です。資格を取得することにより、就職やキャリアアップの幅を広げるだけでなく、職場での安全性を高めることができます。

クレーン免許の合格率や難易度については、以下の記事でも詳しく解説しています。

>> クレーン免許の合格率は?難易度や就職先についても解説!

※参考:一般社団法人日本クレーン協会

※参考:公益財団法人 安全衛生技術試験協会

※参考:建設機械・フォークリフトなどの資格取得ならコベルコ教習所

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