食品加工の仕事内容とは?必要な資格や年収、きついといわれる理由や向いている人を解説
2024年8月21日更新
転職市場で常に安定したニーズがあるのが「食肉加工」の仕事です。特別な知識・スキルがなくても始められる仕事ですが、未経験の方は不安なことも多いでしょう。今回は、食肉加工の仕事内容や向いている人・向いていない人の特徴、平均収入などについて解説していきます。
食肉加工の仕事内容とは?
食肉加工は、スーパーマーケットや飲食店、そして私たちの食卓に肉を供給するのに欠かせない仕事です。肉をより食べやすい形、調理しやすい形に加工し、安心・安全な状態で消費者に届けることを目的にしています。食肉加工の仕事は様々な作業がありますが、中心になるのは食肉の切り分けです。食肉工場によっては、ハムやソーセージ、ベーコンなどへの加工をおこなうところもあります。
①食肉の切り分け
食肉の切り分けは、精密さが求められる食肉加工業の基本的な工程の一つです。
この作業では、解体された肉を消費者や料理の要求に応じた重量や形にスライスするために、主にスライサーのような専門機械を使用して行われますが、肉の質や目的によっては、手作業で細かくカットすることもあります。
機械を使用する場合は肉体的な負担は少ないものの、手作業では熟練が必要で、長時間の作業は手首や腕に負荷をかける可能性があります。しかし、経験を積むことで効率が上がり、身体への負担を減らすことが可能です。
②ソーセージやベーコンへの加工
切り分けられた肉は、ソーセージやベーコンといったさまざまな加工肉製品へと変貌します。
この作業は一般的にライン作業で行われ、各作業員は割り当てられた特定の工程のみ担当します。単純な手順を繰り返すため、技術的な複雑さは少ないものの、品質の一貫性を保つためには細心の注意が必要です。料理が好きな人にとっては、食材が美味しい製品へと変わる過程を体験できるため、作業そのものが楽しく感じられるかもしれません。
③加工肉の梱包・パック詰め
加工が完了した製品は、消費者の手に届く前に梱包・パック詰めされます。
この工程では、商品が輸送中に傷むことがないよう、丁寧で適切に作業することが求められます。また、最終的な検品工程では品質管理が徹底され、異物の混入がないか不良品がないかなど厳しいチェックが行われます。
これには金属探知機をはじめとする先進的な機器を使用する場合もあり、食肉製品の安全性を最終確認する重要なステップです。
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食肉加工の仕事で必要な資格とは?
食肉加工の仕事において必要とされる資格の一つに「食品衛生責任者」があります。この資格は、飲食店や食品販売業など、調理営業や食品の販売を行う施設で必須とされており、許可や届出の対象施設では、衛生管理や法令の遵守などを行うために食品衛生責任者を選任することが義務付けられています。2020年の法令改正により、この資格は省令によって定められたものになりました。
食品衛生責任者になるためには、食品衛生責任者養成講習を受講して、保健所に申請することで資格を取得できます。ただし、医師、歯科医師、薬剤師、獣医師、または大学で医学、歯学、薬学などの関連分野を修めた人は、講習を受けずに食品衛生責任者になることができます。同様に、栄養士、調理師、船舶料理士、製菓衛生師、食品衛生管理者、ふぐ調理師、食品衛生指導員、食品衛生監視員などの資格を持つ人も、追加の講習を受ける必要がない場合があります。講習を受講して修了するだけで資格が取得できるため、資格取得の難易度は低めです。
食肉加工の仕事の年収はどのくらい?
食肉加工業界での収入はどの程度期待できるでしょうか?
職場や職種により差はありますが、おおよその収入水準を把握しておくことは、就職活動において重要です。以下に、食肉加工関連の職における一般的な収入の目安を紹介します。
- 正社員: 年収約300万円から400万円
- 契約社員: 日給約7,300円から11,000円
- パート・アルバイト: 時給約1050円から1500円
また、商品開発や経理、法務などの専門職であれば、500万円から600万円の年収を提示する求人も存在します。勤務地や業務内容によって年収に差が生じるのは当然ですが、市場価格よりも大幅に低い給与の求人には慎重な検討が必要です。
食品加工の仕事はきつい?
食品加工は単純作業が多く働きやすい仕事ですが、食肉加工の現場はきついと言われることもあります。実際にはどうなのでしょうか。ここでは、実際に働いた人の声を元に3つのポイントを説明します。
肉のにおいがきつい
1つ目は、「肉のにおいがきつい」です。
食肉加工の職場は生肉の強い匂いに満ちており、これに慣れるまでが大変です。
初期はこの匂いが原因で仕事を辞める人も少なくありませんが、長く続けることで慣れることも多いです。ただし、職場外での匂いの付着は避けられず、これが家庭など私生活に影響を及ぼすこともあります。加工する食品によっては肉以外にもにおいの問題は起こり得ます。
立ち仕事がきつい
2つ目は、「立ち仕事がきつい」です。
食肉加工業は立ち仕事が中心で、長時間立ち続けることによる足腰への負担が大きいです。
特に冷蔵された環境での作業は、寒さに耐えなければならず、これが体力的にきついと感じる人も多くいます。体力に不安のある方には特にきつさを感じるかもしれません。
単純作業がきつい
3つ目は、「単純作業がきつい」です。
ライン作業では、単純作業の繰り返しが多く、同じ動作を長時間続ける必要があります。
単純作業はメリットにもなりえますが、人によってはこの反復作業は体力的にも精神的な疲れを引き起こすため、集中力を保つことが求められます。また、速さと正確さが重視されるため、短期間で高い効率と品質を身につける必要があります。
食肉加工工場の衛生管理・身だしなみ
食肉は生ものなので雑菌が繁殖しやすく、管理方法や扱い方が悪いと劣化が進み、健康被害を招く原因にもなりかねません。そのため、食肉加工工場では厳しい衛生管理がおこなわれており、そこで働くスタッフにも服装や手洗いの方法など、細かいルールが設けられています。
食肉加工工場で働くスタッフは、専用の衣服や手袋、マスク、帽子などを着用し、粘着ローラーやエアーシャワーによる異物除去、消毒をしてから仕事に取り掛かります。異物混入や異臭の原因になる化粧や香水、時計や指輪、ピアス、マニキュアなどは禁止されています。また、爪は常に短い状態にしておく必要があります。加えて、月に1回、検便検査がおこなわれるのが一般的です。
食肉加工工場で女性が働きやすい理由
食肉加工工場は、工場のなかでも女性が働きやすい職場だと言われており、実際に多くの女性が活躍しています。その理由として挙げられるのは、主婦の方など普段から調理をしている人が多く、包丁などの調理器具の扱いに慣れていることです。また、正確な計量や丁寧な盛り付けが求められますが、これもどちらかと言えば女性に向いた作業だと言えるでしょう。
肉の切り分けは基本的にグラム単位でおこなわれ、力を使う仕事はほとんどありません。決められた手順どおりに進めるライン作業が中心なので、難易度の高い作業もありません。徹底した衛生管理がおこなわれており、職場が清潔であることも食肉加工工場で女性が働きやすい理由の一つだと言えるでしょう。
食肉加工の仕事に必要な知識・スキル
食肉加工工場で働くにあたって、特別な知識やスキルは求められません。初心者の方や未経験の方でも十分にチャレンジできる仕事だと言えます。
もちろん、肉を加工するためには最低限の知識や技術が必要になりますが、それらは働き始めてからの研修で十分に学ぶことができます。研修では、ロース、ヒレ、バラ、モモなど肉の部位を覚えるほか、肉による取り扱い方の違いや切り方の違いなどを習得します。スライサーなどの機械の使い方やカットの方法なども、実際に働きながら習得していきます。コツをつかめば、作業スピードはどんどん上がっていくでしょう。
食肉加工の仕事に向いている人の特徴
食肉加工の仕事に向いている人の特徴としては、以下のような点が挙げられるでしょう。
料理が好きな人・お肉が好きな人
食肉加工の仕事では包丁を使って肉を切り分ける作業も多いので、料理が好きで、普段から包丁を使うことに慣れている人はスムーズに作業できるはずです。また、たとえば豚肉であれば、三元豚、あぐー豚、かごしま黒豚、和豚もちぶた、イベリコ豚など、銘柄ごとの特徴にも詳しくなれるので、お肉が好きな人は楽しく働くことができるでしょう。
コツコツ系の作業が得意な人
食肉加工の仕事は基本的に単純作業です。同じ作業を繰り返すのが苦にならない人、単純作業をいかに効率化できるか?ということにやりがいを感じる人、コツコツと同じ作業をするほうが集中力が高まるという人などは、食肉加工の仕事に向いていると言えるでしょう。
きれい好きな人
食肉加工の仕事は衛生的でクリーンな環境のなか、清潔な作業着を身に着けて進めていきます。そのため、ちょっとした汚れが気になる人や、整理整頓が得意な人など、きれい好きな人は食肉加工の仕事に向いていると言えるでしょう。
寒さに強い人(暑がりの人)
食肉加工工場は、細菌の繁殖を防ぐために室温が低く設定されています。そのため、寒さに強い人、もしくは暑がりの人はそれほど室温を気にせずに仕事をすることができるでしょう。冷凍肉を扱う工場ではさらに低温の環境で仕事をすることになるため、ヒートテックの衣類を着用するなど、寒さ対策が重要になってきます。
食肉加工の仕事に向いていない人の特徴
食肉加工の仕事に向いていない人の特徴としては、以下のような点が挙げられるでしょう。
身だしなみに気を使えない人
食肉加工工場は衛生管理が厳しく、スタッフにも清潔な身だしなみが求められます。普段から身だしなみに気を使えない人は、食肉加工工場の仕事は不向きだと言えるでしょう。専用の衣服や手袋、マスク、帽子などフル装備で作業をするため、このような作業着に圧迫感を覚える人もおすすめできません。
単純作業が苦手な人
食肉加工の仕事は、肉の切り分けにしても梱包・パック詰めにしても、基本的に単純作業の繰り返しです。そのため、同じ作業を繰り返すと飽きてしまう人や、集中力が低下してしまう人などは向いていません。
スピードを求められる作業が苦手な人
食肉加工の仕事の多くはライン作業なので、一人の作業が遅れることで周囲に迷惑がかかったり、全体のスピードが低下してしまったりします。実際に、周囲の作業スピードに付いていくのが難しいと感じる人もいるようです。スピードを求められるのが苦手な人や、自分のペースで仕事をしたい人などは向かないでしょう。
立ち仕事が苦手な人
食肉加工の仕事は決して重労働ではありませんが、基本的には立ち仕事なので、一定の体力や筋力は必要になります。立ったまま仕事するのが苦手な方や、腰痛や膝痛など足腰に不安のある方にはおすすめできません。
ニオイに敏感な人
食肉加工工場では生肉を扱うため、どうしても生肉独特のニオイがあります。多くの人は、徐々にニオイに慣れてきますが、ニオイに敏感な人は気分が悪くなってしまう場合もあります。そのため、長く働き続けるのは難しいかもしれません。
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食肉加工の経験を活かせる場所
食肉加工の仕事をした経験は、以下のような場所・シーンで活かせることがあります。
計り売りの仕事
食肉加工の仕事では、肉を切り分けて計量します。この作業を繰り返すことで、「100グラムが大体どのくらいの重さなのか?」「200グラムの肉がどのくらいのサイズなのか?」といった感覚が身に付いてきます。見た目から重さを推測したり、持ったときの感覚で重さを推測したりできるようになると、計量のスピードが格段に早くなります。このような感覚・スキルは、スーパーなどでの食材やお惣菜の計り売りに活かすことができます。
食品業界の仕事
食肉加工の仕事では、肉の特徴や肉の切り方、保存方法など肉に関する知識が身に付くほか、食品を扱う場所の衛生管理の知識も身に付きます。このような知識は食品業界全般で活かすことができるでしょう。特に近年は、食品工場や飲食店での衛生管理の重要度が高まっており、「HACCP(ハサップ)」というルールに則った管理が求められるようになりました。そのため、食品事業者からしたら、衛生管理の知識がある人は安心して雇用することができるはずです。
飲食店のキッチン
食肉加工工場で日常的に肉のカット、スライスをしていると、着実に包丁さばきが上達します。スピーディーに肉の下処理ができる人や、肉に合わせた切り方ができる人は、飲食店のキッチンなどで重宝されます。飲食店の調理・調理補助などの求人に応募する際は、大きなアピールポイントにすることができるでしょう。
家庭での料理
食肉加工工場で一定期間働くことで、包丁さばきが上手になります。また、肉の切り方や部位ごとの特徴に詳しくなりますし、加工肉を作る作業から香辛料の使い方が上達することもあります。人によっては、肉の目利きができるようになることもあるでしょう。このような知識やスキルは、当然のことですが、家庭での料理に活かすことができます。
まとめ
ジョブ派遣は、派遣会社(株式会社日輪)が運営している求人サイトで、製造業・派遣社員のお仕事を中心にご紹介しています。独自の研修をご用意していますので、工場での仕事が初めての方も安心してご応募いただけます。食品製造に関する工場派遣求人もご紹介していますので、ぜひ自分に合ったお仕事を見つけてください。
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