立ち仕事の消費カロリーはどれくらい?ダイエット効果を高めるポイントなどを解説!

2024年8月21日更新

立ち仕事は痩せる?消費カロリーを職業別に紹介!

「立ち仕事で痩せた」「立ち仕事はカロリーを消費する」といった話を耳にすることがあると思います。工場や飲食店、小売店などは立ち仕事が中心になりますが、実際にダイエット効果はあるのでしょうか。

今回は、立ち仕事とデスクワークの比較も交えながら、消費カロリーやダイエット効果について解説していきます。

立ち仕事で痩せることはできる?

立ち仕事の消費カロリーは、個人の体重や身体活動量によって異なりますが、一般的には座り仕事よりも多くのカロリーを消費します。一般的な目安としては、立ち仕事で1時間あたり50〜100カロリー程度の消費が見込まれます。
もし8時間勤務すれば、約400kcal~800kcalが消費させる計算です。重いものを扱う作業や、歩く作業がプラスされる場合、消費カロリーは更に増えます。

カロリー消費の”単位METs(メッツ)”とは?

METs(メッツ)は、国際的に使われている身体活動の強度をあらわす単位です。
安静時(静かに座っている状態)を1としたときと比較して、何倍のエネルギーを消費しているかを示します。

たとえば、「歩く」「掃除機をかける」「子どもと遊ぶ」などは3METs程度、「やや速歩」「通勤で自転車に乗る」「階段をゆっくり上る」などは4METs程度、「ゆっくりとしたジョギング」などは6METs程度、「エアロビクス」などは7METs程度、「ランニング」「クロールで泳ぐ」「重い荷物を運搬する」などは8METs程度となっています。国立健康・栄養研究所の「身体活動のメッツ(METs)表」という資料に主な身体活動のMETsがまとめられています。

METsが分かれば、以下の式によってエネルギー消費量を計算することができます。

エネルギー消費量(kcal) = 1.05 × エクササイズ(METs・時)× 体重

たとえば・・・

・体重60kgの人が1時間、犬の散歩をした(3METs)ときの消費カロリー

1.05 × 3METs × 60kgで、189kcalとなります。

・体重60kgの人が4時間、座って静かにテレビを見た(1.3METs)ときの消費カロリー

1.05 × 1.3METs × 4時間 × 60kgで、327.6kcalとなります。

METsの高い身体活動を長時間おこなえば消費カロリーが増えるので、痩せやすくなると言えます。では、立ち仕事のMETsはどのくらいなのでしょうか。

ダイエットでよく聞く”基礎代謝”とは?

ダイエットをするうえでは「基礎代謝」を考慮することも重要です。一般的に、基礎代謝が高いほど痩せやすい体になると言われます。

基礎代謝とは?

基礎代謝とは、上向きで横になった状態で肉体的・精神的に安静であり、睡眠することなく、腕や脚などを動かさずに24時間で消費するエネルギー量のことを言います。私たちは、この状態でも心臓を動かしたり体温を維持したりするために筋肉や臓器が動いており、エネルギーを消費しています。このエネルギーが基礎代謝であり、分かりやすく言えば、「何もしていなくても消費するエネルギー」と言うことができます。

基礎代謝量は性別や年代によって異なります。厚生労働省は以下のとおり、基礎代謝の基準値を示しています。

男性女性
年齢参照体重基礎代謝量(日)年齢参照体重基礎代謝量(日)
18歳〜29歳64.5kg1,530kcal18歳〜29歳50.3kg1,110kcal
30歳~49歳68.1kg1,530kcal30歳~49歳53.0kg1,160kcal
50歳~64歳68.0kg1,480kcal50歳~64歳53.8kg1,110kcal
65歳~74歳65.0kg1,400kcal65歳~74歳52.1kg1,080kcal
75歳以上59.6kg1,280kcal75歳以上48.8kg1,010kcal

また、基礎代謝量は個人の身体的条件(身長・体重)によっても変わります。詳しく知りたい方は、以下の自動計算サイトを使ってみましょう。

>> 基礎代謝量 – 高精度計算サイト|casio
https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228736

基礎代謝量が高い状態は、何もしていなくても消費するカロリーが多いということなので、痩せやすく太りにくい体になります。ですが、上記の表を見ても分かるように基礎代謝量は年齢とともに少なくなっていきます。では、基礎代謝量を上げる(維持する)ためにはどうすれば良いのでしょうか。

一般的に、基礎代謝量を上げるために重要だと言われているのが、筋肉をつけることです。特に、大胸筋や広背筋、大臀筋(お尻の筋肉)や太もも、ふくらはぎなど、大きな筋肉を鍛えるのが効果的です。その意味で、立ち仕事はこれらの筋肉を使うため、筋肉量の維持・増加につながり、基礎代謝量も上がりやすい(維持しやすい)と言えるでしょう。

働きながら痩せたい人必見!

痩せるためには、消費カロリーを増やすことが不可欠です。そのためには、体を動かすことが必要です。しかし、ジョギングやジム通いは時間的・精神的に続けるのが難しいこともあります。

そこで、仕事をしながら体を動かす方法を検討してみてはいかがでしょうか。仕事後に時間を取られずに、消費カロリーを増やしながらお金を稼ぐことができれば、一石二鳥です。

体力を要する仕事は一般的に敬遠されがちですが、働きながら運動できると考えると、それは魅力的な仕事と言えるでしょう。

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《職種別》立ち仕事の消費カロリー

「立ち仕事」と言っても、その内容は様々です。
工場勤務で言えば、立ちっぱなしでライン作業に従事するケースもあれば、工場内をあちこちと歩き回る仕事もありますし、重い物を運んで移動する作業もあります。「身体活動のメッツ(METs)表」を元に、いくつかのパターンに分けて立ち仕事のMETsや消費カロリーを見ていきましょう。

1:アパレル販売員・飲食店スタッフなどの接客業

  • METs=3.0の立ち仕事: このカテゴリには軽い立ち仕事が含まれます。アパレル販売員や基本的な飲食店スタッフの仕事がこれに該当します。主に立っているが動きは少ない状態です。
  • METs=3.5の立ち仕事: やや活動的な立ち仕事で、頻繁に動く接客業が含まれます。例えば、アパレルでの多くの商品整理や飲食店でのオーダー取りと提供など、積極的な動きを伴う作業です。
  • METs=4.5の立ち仕事: 更に活動量の多い接客業務に該当します。飲食店での料理の準備や配膳、バーやカフェでの動きが激しい時間帯の業務などがこれにあたります。

2:コンビニの店員・客室乗務員などの接客業

  • METs=3.0の立ち仕事: コンビニの店員や客室乗務員の中で比較的動きが少ない業務です。レジでの応対や軽い品出しなどが含まれます。
  • METs=3.5の立ち仕事: コンビニでの繁忙時や飛行機内でのサービス提供時など、やや動きが多い業務です。
  • METs=4.5の立ち仕事: 非常に忙しい時間帯のコンビニ業務や、緊急時対応を含む客室乗務員の業務などが該当します。

3:看護師・介護士・土木・建設工事などの作業員

  • METs=3.5の立ち仕事: 看護師や介護士の一般的な業務で、患者の見守りや軽い介助などが含まれます。
  • METs=4.5の立ち仕事: 看護師や介護士の中でもより体力を要する業務、土木や建設工事の現場での作業がこれにあたります。重い物の運搬や積極的な患者ケアなどが含まれます。

4:工場勤務

  • METs=3.0の立ち仕事: 軽作業を伴う工場での仕事です。製品の組立や検査など、立ちながらも比較的動きの少ない業務が該当します。
  • METs=3.5の立ち仕事: より活動的な工場業務で、頻繁に機械操作や素材の移動を行う作業がこれに含まれます。
  • METs=4.5の立ち仕事: 重工業や大量生産工場での重労働。重い機械の操作や連続的な重物の取り扱いが主な業務です。

消費カロリーはデスクワークと立ち仕事ではどれくらい違う?

一般的な立ち仕事の消費カロリーが分かったところで、デスクワークなどの座り仕事との比較をしてみましょう。

デスクワークのMETsは1.5

「身体活動のメッツ(METs)表」によると、「座位作業:楽な労力(例:オフィスワーク、化学実験、パソコン作業、簡単な組み立て作業、時計の修理、読書、デスクワーク)」のMETsは1.5です。
METs=1.5の座り仕事を6時間おこなった場合の消費カロリーは以下のとおりです。

体重消費カロリー
60kg1.05 × 1.5 × 6時間 × 60kg = 567kcal
70kg1.05 × 1.5 × 6時間 × 70kg = 661.5kcal

METs3.0の立ち仕事と比べた場合、消費カロリーに2倍の差があることが分かります。

体重立ち仕事(METs=3.0)座り仕事(METs=1.5)
60kg1,134kcal567kcal
70kg1,323kcal661.5kcal

立ち仕事でダイエット効果を高めるポイント

ダイエットの効果を期待して立ち仕事をする人は、以下のようなポイントを意識するとより痩せやすくなるでしょう

ポイント①正しい立ち姿勢

立ち仕事でダイエット効果を狙うなら、正しい姿勢を意識することが大事です。壁に、頭・肩・お尻・ふくらはぎ・かかとを付けて立ってみましょう。このとき、腰の後ろに手のひらがスッと入る隙間があれば正しい姿勢です。隙間がなかったり、隙間のある姿勢を保つのがつらいと感じたりするときは姿勢が悪くなっている可能性があります。また、腰の後ろに拳が楽々入るような隙間がある方は、「反り腰」になっている可能性があります。

姿勢に不安がある方は、整体院などに行って正しい立ち姿勢を覚えたうえで立ち仕事に臨むようにしてください。正しい立ち姿勢を維持できていれば血流や筋肉バランスが良くなるので、より高いダイエット効果が期待できるでしょう。

ポイント②つま先立ち

脚がむくむ原因の一つが、ふくらはぎの筋力不足だと言われています。つま先立ちをすることでふくらはぎの筋肉を鍛えることができるので、むくみの解消やふくらはぎの引き締め効果が期待できます。

① 脚を少し開いて立つ

② 勢いよくかかとを上げて、つま先立ちをする

③ ゆっくりとかかとを下ろして、床に付かないギリギリの位置で止める

④ ②に戻って繰り返す

ポイント③腹式呼吸

立ち仕事をしているときに呼吸に変化をつけることで、腹筋を鍛えることができます。お腹の引き締め効果が期待できるほか、姿勢改善にもつながります。

① 息を目いっぱいに吸ってお腹を膨らませる

② 息を空っぽにするイメージで全部吐き出す

③ 息を吐ききったら、お腹を引っ込めた状態で30秒キープする

④ ①に戻って繰り返す

ポイント④歩き方を変える

立ち仕事中に歩く機会を利用してダイエット効果を高めるためには、歩き方に工夫をすることが重要です。姿勢を正し、背筋を伸ばした状態で歩くことで、体の中心部や背中の筋肉が適切に活用され、効率的にエネルギーを消費することができます。

また、普段の歩幅よりも少し大きめにすることで、通常はあまり使われない脚の筋肉がより多く動員され、その結果、より多くのカロリーが燃焼されます。
さらに、歩く速度を速めることによって心拍数が増加し、脂肪燃焼効果が高まります。速く歩くことで、有酸素運動の効果が得られ、持続的なカロリー消費が促されるため、ダイエットにもつながります。

ポイント⑤食事制限をする

痩せるためには「消費カロリー > 摂取カロリー」の状態を維持することが重要です。「運動しているのに痩せない」という場合、原因は食べ過ぎでしょう。消費カロリーを増やすだけでなく、摂取カロリーを減らすこと、すなわち、食事制限をすることも重要です。

摂取カロリーを減らそうと食事を抜いたり、炭水化物を排除したりする人もいますが、あまりおすすめできません。無理なく摂取カロリーを減らすためには、たとえば以下のような工夫がおすすめです。

  • ジュースをお茶に変える
  • マヨネーズをノンオイルドレッシングに変える
  • 毎日の晩酌を週3日にする
  • 揚げ物は週2回までにする
  • お菓子を買い置きしないようにする
  • 揚げ物をやめて、炒め物にする
  • 野菜料理から食べ始める など

立ち仕事でダイエットするメリットとは?

立ち仕事は、多くの人が日常的に経験する労働形態の一つであり、座りっぱなしの仕事に比べて健康面で多くの利点があります。特にダイエットという観点から見ると、立ち仕事は消費カロリーの増加、体の代謝の向上、筋力維持といったメリットをもたらします。

消費カロリーの増加

立ち仕事は座っている作業に比べて、一般的により多くのカロリーを消費します。立っているだけでも体はバランスを保つために多くの筋肉を使い、特に足腰や核心部の筋肉が活動的になるため、それによってエネルギー消費量が増えるのです。

代謝の向上

立ち仕事は体の代謝機能を高める効果があります。筋肉を常に使うことで体の代謝が活発になり、脂肪燃焼効率が良くなるとされています。また、定期的な立ち活動は血流を促進し、エネルギー消費の効率を高めるため、長期的に見て体重管理が容易になります。

筋力の維持と向上

長時間立ち続けることは、特に下半身の筋肉を鍛える効果があります。ふくらはぎや太もも、臀部など、立つことによって常に働かされる筋群が、座った状態ではあまり使われないため、立ち仕事をすることでこれらの筋肉を効果的に維持し、さらには強化することが可能です。

立ち仕事のデメリット・リスクとは?

立ち仕事のデメリット・リスクについてご説明します。

立ち仕事のリスク①足のトラブルが起きることがある

立ち仕事のなかには、ほとんど移動せず、立ちっぱなしで同じ作業に従事する仕事もあります。このような仕事は筋肉の動きが少なくなり、特に足の血流が悪化しがちです。足の血流が滞ると、足の疲れやだるさ、むくみなどのトラブルの原因になります。

立ち仕事のリスク②腰痛の原因になることがある

立ち仕事が続くと筋肉が固まって、腰痛の原因になることがあります。特に「中殿筋」と呼ばれる骨盤を支えている筋肉に負担がかかると、腰痛を引き起こしやすくなります。

立ち仕事のリスク③慣れるまでは疲れやすい

デスクワークをしていた人が立ち仕事を始める場合など、慣れないうちは疲れが出やすかったり、筋肉痛が起きたりすることがあります。個人差はありますが、慣れるまでに1~2ヶ月は見ておいたほうが良いでしょう。慣れてくれば、必要な筋肉がついてきたり動作のコツが分かってきたりして、疲れを感じにくくなるはずです。

やっぱり立ち仕事いやだ!

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立ち仕事の負担を軽減する方法はある?

長時間の立ち仕事は体に多くの負担をかけることがありますが、適切な方法を取り入れることでその負担を軽減し、健康を維持することが可能です。以下の点に注目して、立ち仕事の負担を軽減する具体的な方法を紹介します。

1:ストレッチ・マッサージ

定期的なストレッチやマッサージは、筋肉の緊張を和らげ、血流を改善することにより、長時間の立ち仕事による体の負担を軽減します。特に腰や足、首の筋肉に焦点を当てたストレッチが効果的です。例えば、足首を回す運動や、腰回りをゆっくりと大きく円を描くように動かすストレッチがあります。また、自分でできるマッサージ技術を学ぶか、仕事の合間に簡単にできるハンドマッサージや、市販のマッサージツールを使用するのもおすすめです。

2:軽い運動

軽い運動を取り入れることも、立ち仕事の負担を軽減するのに有効です。例えば、数分間の歩行や、軽いジャンプ、足踏みなどが良いでしょう。これらの活動は筋肉のコンディションを整えると同時に、心臓の健康を促進し、全体の体力を向上させる効果があります。

3:毎日の入浴

温かいお風呂に浸かることで、筋肉の緊張がほぐれ、血流が促進されます。特に立ち仕事で疲れた足を中心に、全身を温めることでリラクゼーション効果も得られます。バスソルトを加えることでさらにリラックス効果を高めることができます。

4:コンプレッションウェアの着用

コンプレッションウェアを着用することで、血流が改善され、筋肉の疲労が軽減されます。また、体の動きをサポートし、無理な力がかからないように整えることができるため、長時間立ち続けても体への負担が少なくなります。

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まとめ

ダイエットのために運動しようと思っても、その時間をとるのが難しく、挫折してしまう人は少なくありません。しかし、立ち仕事なら仕事中にも運動効果が得られるので、仕事が終わってからジムに通ったり、ジョギングをしたりする必要はありません。無理なくダイエットをしたい人は、立ち仕事にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

※参考:

活動量の評価法 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

メッツ / METs | e-ヘルスネット(厚生労働省)

身体活動のメッツ(METs)表|国立健康・栄養研究所

https://www.nibiohn.go.jp/files/2011mets.pdf

日本人の食事摂取基準(2020年版)|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

『毎日の食事のカロリーガイド 第3版』(女子栄養大学出版部)

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