半導体の製造工場の仕事とは?製造工程、転職方法などを徹底解説!
2024年9月10日更新
半導体は、私たちの生活を支える多くのデバイスに欠かせない重要な部品です。スマートフォンやパソコン、自動車など、さまざまな製品に使われています。本記事では、半導体製造工場の仕事について、具体的な製造工程や転職方法を詳しく解説していきます。半導体業界での仕事に興味のある方や、キャリアチェンジを考えている方必見です。
半導体とは?
半導体は、条件によって電気を通したり、通さなかったりできる性質を持つ特別な材料です。この特性を利用して、コンピュータやスマートフォンなどのデバイスで電気の流れを細かく制御できるようになっています。多くの製品に半導体が使われており、現代社会において、半導体は生活に欠かせない部品です。
半導体の正式名称は「半導体集積回路」と呼ばれるものです。
「半導体」の本来の意味は、電気を完全に通す「導体」と全く通さない「絶縁体」の中間にあたる性質を持っているものを指し、もともとはシリコンなどの材料を指す言葉でした。しかし、今では電子部品やそれらを集めて作られた集積回路を含む広い意味で使われています。
半導体業界のしくみ
半導体製造には1,000以上の工程があります。半導体業界は、「半導体材料メーカー」、「半導体製造メーカー」、「半導体製造装置メーカー」、「半導体商社」の4つに分けることができます。
半導体材料メーカー
半導体材料メーカーは、半導体を作るために必要な「シリコンウェーハ」や「絶縁膜」、「導電膜」などの材料を提供している会社です。半導体の性能や品質は、使われている材料によって大きく変わるので、材料メーカーはとても重要な役割を果たしています。
「シリコンウェーハ」とは、半導体を作るための基盤となる薄い円盤状のシリコンの板のことです。2023年のシリコンウエハーの世界シェア1位と2位は、日本の信越化学工業とSUMCOです。この2社で、市場シェアの50%超を占めています。
半導体製造メーカー
半導体製造メーカーは、実際に半導体を作る企業です。半導体材料メーカーからシリコンウェーハなどの材料を仕入れ、半導体を製造します。これらのメーカーには、「設計・開発」「製造」「販売」までを一貫して行う企業と、それぞれの工程に特化して行う企業があります。
半導体製造メーカーとして有名な企業には、米国のインテルやエヌビディア、韓国のサムスン、台湾のTSMC(台湾セミコンダクター)、日本のキオクシアなどがあります。台湾のTSMCは「製造」に特化しており、アメリカのエヌビディアは「設計」や「販売」に特化した企業です。
半導体製造装置メーカー
半導体製造装置メーカーは、半導体を作るための装置や機械を開発・製造する企業です。半導体の製造工程は非常に精密で、高度な専用装置が必要です。
2023年の経済産業省の発表時点の半導体製造装置メーカーの国別シェアでは、1位がアメリカの35%、2位が日本の31%となっています。日本の代表的な半導体製造装置メーカーには、東京エレクトロン、アドバンテスト、SCREENホールディングス、KOKUSAI ELECTRIC、日立ハイテク、ディスコ、東京精密などが挙げられます。
参考:経済産業省「半導体・デジタル産業戦略」
半導体商社
半導体商社は、半導体製造メーカーと半導体を必要とする各種機器メーカーをつなぐ重要な役割を果たしています。半導体商社は、半導体機器に関する卸売業者とも言えますが、単に半導体を仕入れて販売しているだけではありません。半導体には用途によってさまざまな種類があり、商社のマッチング力や交渉力を活用することで、各種機器メーカーは効率よく必要な半導体を揃えることができるのです。
半導体業界の将来性
すでに私たちの生活に欠かせないスマートフォンや家電、自動車など、さまざまな製品に半導体が使われています。さらに、5G通信や自動運転、AI(人工知能)などの新しい技術が進むにつれて、半導体の需要はますます増え続けていくでしょう。
今後も半導体業界は安定した成長が期待されており、転職先としても非常に将来性のある業界と言えます。
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半導体製造工程
半導体業界について理解したところで、次に半導体の製造工程について説明します。半導体の製造は、大きく「設計」「前工程」「後工程」の3つの工程に分けられます
半導体の製造:設計
半導体の製造は、まず回路の設計から始まります。
ウェーハは半導体の基板となる材料ですが、半導体の回路は非常に細かいため、ウェーハの表面に直接描くことはできません。そこで、フォトマスクと呼ばれる原版にコンピュータで回路を設計し、それをウェーハに転写して回路を形成します。フォトマスクを作成するところまで設計の工程にあたります。
1.回路・パターン設計
ウェーハ上に配置する回路を設計し、シミュレーションを繰り返して確認します。
2.フォトマスク作成
コンピュータを使って、透明なガラス板(フォトマスク)に回路パターンを描き、ウェーハに回路を転写するためのフォトマスクを作成します。
半導体の製造:前工程
設計が完了したら、次に「前工程」と呼ばれる実際の製造工程に進みます。前工程では、ウェーハの表面に電気の流れをコントロールするトランジスタや配線を形成し回路を形成するため、複数の工程が行われます。以下は、前工程の主なステップです。
1. ウェーハ表面の酸化
まず、ウェーハを高温の酸素に晒し、表面に酸化膜を形成します。
2. 成膜
次に、ウェーハ上に配線やトランジスタの材料となる薄膜を形成します。
3. パターン転写
設計で作成したフォトマスクを使い、フォトレジスト(感光剤)をウェーハに塗布して回路パターンを転写します。この工程で、設計された回路が実際にウェーハ上に描かれます。
4. エッチング
パターン転写された部分に従って、不要な部分を削り取り、回路や配線の形状を整えます。
5. レジスト剥離・洗浄
残っているフォトレジストを剥離し、ウェーハを薬液で洗浄します。この工程でウェーハ上に残った不純物が除去されます。
6. イオン注入
半導体に特定の性質を持たせるため、ウェーハにイオンを注入し、電気的な性能を高めます。
7. 平坦化
ウェーハの表面を研磨して凹凸をなくし、次の層を正確に積み重ねる準備をします。
パターン転写から平坦化までの工程を繰り返して、必要な回路を形成していきます。
半導体の製造:後工程
半導体の「後工程」は、前工程で作られたウェーハから半導体チップを切り出し、最終的に製品として仕上げる工程です。後工程は主に、ダイシング、パッケージング、最終検査という3つの主要なステップから構成されています。
1. ダイシング
「ダイシング」とは、ウェーハを小さく切り分け、個々の半導体チップ(ダイ)にする工程です。ウェーハは前工程で複数の半導体回路が並べられて作成されていますが、この円形のウェーハを細かく切り離し、半導体チップとして独立させます。この工程により、半導体が単位ごとに分かれ、個別の部品として使用できるようになります。
2. パッケージング
「パッケージング」では、切り出された半導体チップを保護し、使いやすい形状にします。まず、チップをフレームに固定し、「ワイヤーボンディング」によって、薄い金属ワイヤで電気的な接続を行います。これにより、チップは外部の回路と接続できるようになります。
次に、チップを保護するために樹脂やセラミックなどの材料で封入します。この封入作業は「モールディング」と呼ばれ、半導体を外部からの衝撃や汚れ、湿気、電磁波などから守るために行われます。パッケージングが完了すると、半導体は外部から使用できる端子が付いた状態になります。
3. 最終検査
パッケージングが終わった半導体チップは、次に「最終検査」を受けます。この検査では、半導体が設計通りに動作するかどうかを確認するため、電気的特性や外観検査が行われます。また、長期的な信頼性を確保するために、厳しい環境下での耐久性試験や寿命試験も実施されます。基準を満たさない半導体チップは不良品として除去され、品質の高いチップのみが製品として出荷されます。
後工程をクリアした半導体チップは、スマートフォンやパソコン、自動車など、さまざまな製品に組み込まれます。これにより、私たちの生活を支えるデバイスが機能し、半導体の重要な役割を果たすことになります。
半導体製造業界への転職方法
これまで半導体業界の重要性や、製造工程について詳しく説明しました。半導体業界は、技術革新や需要の拡大に伴い、安定した成長が見込まれる将来性のある業界です。ここでは、半導体業界への転職を考えている方に向けて、具体的な転職方法を紹介します。
1. 求人サイトを利用する
半導体業界に特化した求人サイトや、一般の転職サイトで多くの半導体関連の求人情報を見つけることができます。求人サイトでは、製造オペレーターや品質管理、エンジニアなど、さまざまな職種の情報が掲載されています。これらのサイトを活用し、自分のスキルや経験に合った職種を探しましょう。
2. 転職エージェントを活用する
転職エージェントは、専門のキャリアアドバイザーが求職者のスキルや経験に基づいて最適な求人を紹介してくれるサービスです。半導体業界に強い転職エージェントを利用することで、未経験からのキャリアチェンジや、より専門的なエンジニア職への転職をスムーズに進めることができます。
転職エージェントは、非公開求人の紹介や、履歴書・職務経歴書の作成サポート、面接対策など、転職活動のサポートを行ってくれるため、初めての業界転職でも安心して利用できます。
3. 派遣会社を通じて工場勤務を始める
未経験者で半導体業界に興味がある方は、派遣会社を通じて工場勤務を始めるのも一つの方法です。派遣社員として工場オペレーターや製造ラインスタッフとして働き、経験を積んでいくことができます。多くの派遣会社では、未経験者向けの研修やサポートが充実しており、技術や知識がなくてもスタートしやすい環境が整っています。
また、派遣社員として勤務した後、正社員への登用があるケースも多いため、まずは工場勤務からキャリアを始めてみたい方におすすめです。
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- サポート体制が充実: 転職や就業に関するサポートが充実しており、初めての工場勤務でも安心して働ける環境が整っています。
ジョブ派遣を利用して、半導体業界や製造業でのキャリアをスタートし、将来性のある職場で働く第一歩を踏み出しましょう。
まとめ
これまで、半導体業界の仕組みや製造工程、そして転職方法について詳しく解説してきました。半導体業界は、技術革新が進み、今後も成長が期待される非常に魅力的な業界です。特に半導体製造の現場では、多くの人材が必要とされており、未経験者でも挑戦しやすい環境が整っています。
また、転職方法についても、求人サイトや転職エージェントを活用して専門職を目指す方法から、派遣会社を通じて工場勤務からスタートする方法まで、さまざまな選択肢があります。自分に合った方法でキャリアを築いていくことが可能です。
半導体業界は、私たちの生活に欠かせない技術を支える重要な役割を果たしており、働くことで社会に大きな貢献ができる分野でもあります。ぜひ、半導体業界や製造業への転職を検討し、将来性のある仕事に挑戦してみてください。
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