無期雇用派遣はやめとけって本当?メリット・デメリットや落とし穴について
2024年8月21日更新
求人情報を見ると、「無期雇用派遣」という文言を目にすることも増えてきましたが、通常の派遣とは何が違うのでしょうか?
本記事では、有期雇用派遣や正社員との相違点も明確に示しながら、詳細に解説していきます。
無期雇用派遣とは?
無期雇用派遣とは派遣社員の雇用形態のひとつで、2015年に行われた労働者派遣法の改正によってできた制度です。
無期雇用派遣は契約期間がない
無期雇用派遣とは、派遣社員として働く際に契約期間を明確に定めずに雇用される仕組みです。正式には「常用型派遣」ですが、一般的に「無期雇用派遣」という用語がよく使われています。
働き方は通常の派遣(登録型派遣)と同様で、派遣会社から企業に派遣されて業務を行います。
「無期雇用派遣」と「有期雇用派遣」の違いは?
「無期雇用派遣(常用型派遣)」のほかに、雇用期間を定めて派遣社員として働く「有期雇用派遣(登録型派遣)」があります。「有期雇用派遣(登録型派遣)」が通常皆さんがイメージする派遣の働き方です。
「無期雇用派遣」と「有期雇用派遣」の大きな違いは雇用期間と給料の支払われ方です。ここでは、それぞれの違いについて触れていきます。
雇用期間の違い
通常の派遣は有期雇用なので、同じ職場で働ける期間には最長3年の満期がある有期雇用です(有期雇用派遣)。しかし、無期雇用派遣は、派遣会社と雇用期間を定めない契約を結んでいるので、「無期」という名前のとおり、無期限で働くことができます。
また、有期雇用派遣では派遣先での就業期間のみが雇用期間となりますが、無期雇用派遣では派遣先での就業期間が終了した場合でも雇用期間が続きます。
給与の支払われ方の違い
「無期雇用派遣」では、給与は月給制であり、毎月一定の額が支払われます。休日や祝日の有無に関係なく、給与は一定です。また、派遣先での就業期間が終了しても、派遣会社との雇用契約が存在するため、待機期間においても原則として給与が支払われるのが特徴です。
一方、「有期雇用派遣」では、就業期間や更新頻度は個別の契約によって異なりますが、一般的に雇用期間が定められています。給与は時給制であり、就業していない期間や休日には給与の支払いはありません。さらに、派遣先での就業期間の終了と同時に、派遣会社との雇用契約も終了することが一般的です。これにより、派遣労働者は派遣先での仕事が終わると収入が途切れるリスクが生じます。
「無期雇用派遣」と「有期雇用派遣」の違いをまとめると、以下のようになります。
無期雇用派遣 | 有期雇用派遣 | |
---|---|---|
雇用主 | 派遣会社 | 派遣会社 |
雇用期間 | 期限なし | 最大3年 |
給与 | 月給制 | 時給制 |
待機期間の給与 | あり | なし |
「無期雇用派遣」と「正社員」の違いは?
派遣会社と期間を定めない雇用契約を結ぶ「無期雇用派遣」は、定年まで働き続けられる点では正社員と同様の雇用形態と言えます。
ただし、派遣社員の給与や福利厚生は派遣会社に準じるため、派遣先企業の正社員の給与・福利厚生とは大きく異なることがほとんどです。また、派遣会社と派遣先企業との契約が終了した場合、無期雇用派遣でも派遣先企業で働き続けることはできません。そのため、「無期雇用派遣」は派遣として働きながらも月給が一定額で保証されているという認識が適切です。
「無期雇用派遣」と「正社員」の違いをまとめると、以下のようになります。
無期雇用派遣 | 正社員 | |
---|---|---|
雇用主 | 派遣会社 | 就業先(直接雇用) |
給与・福利厚生 | 派遣会社に準ずる | 就業先に準ずる |
給与 | 月給制 | 時給制 |
同じ職場で働ける期間 | 企業間の契約期間内 | 無期限 |
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無期雇用派遣はやめとけと言われる理由は?デメリットは?
無期雇用派遣について調べると、ネガティブな意見が多く見受けられます。「メリットがない」「やめとけ」といった声が目立ちます。これにより、多くの人々が実際のところどうなのか気になっていることでしょう。ここでは、派遣労働者の視点から、無期雇用派遣のデメリットを3つご紹介いたします。
《デメリット1》派遣先の選択肢
デメリットの1つ目は、派遣先の選択肢がないことです。「無期雇用派遣」では、派遣企業の社員として扱われるため、仕事(派遣先)は派遣会社からの「配属指示」によって決まります。これは正社員の異動や転勤と同様であり、派遣会社の指示に従う必要があります。基本的には断ることはできませんが、一定の希望は考慮されます。
ただし、「無期雇用派遣」では待機期間中にも給与が支払われるため、条件の合わない職場への派遣も少なくありません。
ただし、「無期雇用派遣」の就業先は主に大手企業であり、派遣会社には通勤時間などの規定があるため、通勤が困難な勤務地や小規模な会社への派遣はまれです。さらに、正社員に異動があるのと同じで、このデメリットは無期雇用派遣特有のものではないとも言えます。
《デメリット2》自由な働き方の制限
デメリットの2つ目は、「無期雇用派遣」では派遣社員ならではの自由な働き方が制約されることです。通常の派遣社員は勤務地や勤務日数、職種や勤務時間などを自分のライフスタイルに合わせて選ぶことができますが、無期雇用派遣ではそれが難しくなります。
無期雇用派遣では派遣会社に常時雇用されているため、有期雇用派遣のように自分のタイミングで長期休暇を取ることも難しくなります。自身のスケジュールやプライベートな都合に合わせて働くということが難しくなります。
《デメリット3》採用試験や面接
デメリットの3つ目は、無期雇用派遣は採用試験や面接を受けなければならないことです。無期雇用契約を結ぶには、試験や面接を通過する必要があります。派遣先は無期雇用派遣社員に対して、正社員と同等の責任を負わせるため、適切な選考が求められるのです。派遣会社も、働く意欲のない人や必要なスキルを持っていない人を無制限に採用することはできません。個人情報を登録するだけで働ける有期雇用派遣のような手軽さはないため、人によってはデメリットとといえるでしょう。
無期雇用派遣で働くメリットは?
ここまで無期雇用派遣のデメリットを紹介してきましたが、実際には多くの人々がこの働き方を選んでおり、その中にはさまざまなメリットを享受している人々もいます。ここでは、無期雇用派遣で働いている人たちが実感している6つのメリットを詳しくご紹介します。
《メリット1》安定した収入
無期雇用派遣の最初のメリットは、安定した収入を得られることです。派遣労働者として働く場合、月給制度が採用されるため、祝日や長期休暇などの休日があっても、給与は変動しません。これにより、派遣労働者の最も大きなデメリットである不安定な収入の問題が解消されます。実質的に、正社員と同じ給与体系を享受できるのです。
《メリット2》賞与・ボーナスがある
無期雇用派遣の2番目のメリットは、賞与やボーナスの支給です。派遣社員やアルバイト・パートで働く方にとって、賞与やボーナスを受け取ることは非常に嬉しいものです。金額が大きいとは限りませんが、毎月の給与とは別に特別な収入を得ることは、やはりうれしいものです。
《メリット3》待機補償費
派遣先が未確定の待機期間において、待機補償費が支払われることが無期雇用派遣の3つ目のメリットです。待機補償費により、派遣労働者の収入が途切れることはありません。具体的な支給額や条件は派遣会社や労働契約によって異なりますが、平均賃金の約6割程度が一般的です。この待機補償費は、無期雇用派遣において派遣会社との雇用契約が待機期間中も継続しているためです。
《メリット4》3年以上働ける
無期雇用派遣の4つ目のメリットは、期間制限なく働けることです。通常の有期雇用派遣では、派遣法の改正により同じ派遣先の同じ部署での勤務期間は最長でも3年までと制限されています。しかし、無期雇用派遣では定年まで同じ職場で働くことができます。更に、新しい派遣先で仕事を一から覚える、という有期雇用派遣ならではの不安が解消される点も、無期雇用派遣の大きな魅力と言えるでしょう。
《メリット5》大手企業で働ける
無期雇用派遣のメリットの5つ目は、大手企業で働くことができることです。無期雇用派遣の就業先は主に従業員数の多い大手企業が多く、その理由の一つは大手企業が需要に応じた人材の確保のために無期雇用派遣を利用しているからです。
無期雇用派遣ならば、正社員や通常の派遣では中々働くことのできない大手企業にも派遣先として就業することがあります。特に未経験から正社員として大手企業で採用されることは難しいですが、無期雇用派遣を活用することでその可能性が広がります。これは、無期雇用派遣は大きなメリットと言えます。
《メリット6》キャリアを形成しやすい
メリットの5つ目はキャリアアップの機会を得られることです。派遣会社は法律により、無期雇用派遣や有期雇用派遣に対して研修を提供し、キャリア形成を支援する義務があります。
無期雇用派遣では長期的なキャリア形成を考えた様々な研修制度が利用できます。
3年以上同じ業務に就くことができる無期雇用派遣の働き方を選ぶことで、職務経験を積みながらスキルを向上させることができます。これにより、スキルアップやキャリアプランの実現が容易になるでしょう。
無期雇用派遣が向いてる人の特徴は?
無期雇用派遣には、向き不向きがあります。以下では、無期雇用派遣に向いている人の特徴を説明していきます。
安定して長く働きたい人
無期雇用派遣は、長期間働くことができ、安定性が高い働き方です。給料は毎月決まった額を受け取れるため、収入面でも安定しています。また、もし派遣会社と派遣先の契約が終了しても、派遣会社との雇用は続くため、たとえ次の派遣先が決まるまでの待機期間があったとしても収入は途絶えません。無期雇用派遣は、雇用期間と収入のどちらも安定して働きたい方に向いている雇用形態です。
有期雇用派遣で待機期間が増えている人
50代以上の方にとっては、無期雇用派遣に転換することが有益な場合もあります。この年齢では、有期雇用派遣のままでは求人が減少し、待機期間が長くなる可能性があります。しかし、無期雇用派遣に転換すると、待機期間中でも給与を受け取ることができるだけでなく、派遣先への優先的な配属も期待できます。無期雇用派遣への転換は、50代以上の方にとって有利な選択肢となるでしょう。
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まとめ
本コラムでは、無期雇用派遣について詳しく解説しました。無期雇用派遣と有期雇用派遣の違いや、無期雇用派遣のメリット・デメリットについて理解することが重要です。無期雇用派遣は安定した収入や長期的な働き方の可能性がありますが、一方で待機期間や派遣先の制約も存在します。今後のお仕事探しにおいて、本記事を参考にしっかりと情報を把握し、自身のキャリアに適した選択を行いましょう。
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