派遣社員も交通費は貰える!支給方法や負担場所、注意点とは
2024年8月21日更新
「派遣社員は交通費がもらえない」と思っている人はいませんか?
実は、2020年の法改正により、派遣社員にも通勤手当として交通費が振り込まれるようになりました。
なぜ、どのように改定されたのか、税金の変化、注意すべきポイントについて詳しく紹介していきます。
派遣でも交通費は支給される!
従来は交通費の支給がなかった派遣社員も、2020年の法改正より、出勤のための交通費を正社員と同様に受け取ることができるようになりました。
この制度の導入により、派遣社員の財政的負担が軽減され、より公平な働き方が実現されることが期待されています。
また、交通費支給制度の導入は、派遣業界全体にもポジティブな影響を与えています。派遣会社もより優れた待遇を提供することで、優秀な人材の確保や定着率の向上につながると期待しています。
このように、派遣社員でも交通費が支給されることは、労働環境の改善の一環となっています。
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派遣法の改正とは?
2020年の派遣法改正では、主に働きすぎを防ぐための労働時間制度の創設と正社員と非正規社員の間の不合理な格差の是正が行われました。
従来、派遣労働者は、派遣先が変わるごとに賃金水準が変わることから、不安定な所得であることが問題視されていました。 しかも、所得の変動は、職務の難易度に比例しているわけではありません。 正社員であれば、職務の難易度が上がるにつれて、所得も増え、段階的なキャリア形成を築くことができるところ、 派遣労働者については、このような段階的なキャリア形成を築くことが困難な状況にありました。
そこで、今回の改正では、派遣労働者の待遇について、 派遣先の労働者との均衡(=不合理な待遇差をしない)、均等(=不利な待遇差をしない)を確保すること が目指されました。これにより、派遣労働者の安定的な所得とキャリアアップの機会が確保されることが期待されます。
派遣先均等・均衡方式
派遣先均等・均衡方式とは、派遣社員と同じ仕事をしている派遣先の社員が同一労働同一賃金になるように、交通費や手当を支給する方式です。つまり、派遣社員にも派遣先の社員と同じ交通費が支給されます。
しかし、デメリットとして、派遣会社と派遣先企業間の調整が複雑になる可能性があること、また、派遣先の規定によっては支給額が変動するため、派遣社員が安定した支給を受けることが難しい場合もあるという点が挙げられます。
労使協定方式
労使協定方式とは、派遣会社と派遣社員が労使協定を結び、同じ地域の中で、同じ職種と業務に従事する労働者の賃金と、平均以上を支払うという方式です。
労使協定は、使用者(派遣会社)と労働者(派遣社員)との間で締結する労働条件などを書面に残すことで、労働者からの不当な搾取を防止する仕組みです。労働者の権利や職場環境を守ることを目的です。
「派遣先均等・均衡方式」と異なり、派遣先の賃金(交通費)と待遇に揃えるのではなく、労使協定に基づいて支給されるので派遣社員の不合理な待遇が解消されます。
派遣先の地域や職種によって異なる交通費を支給され、派遣先が変わったとしても職種が変わらない限り同じ待遇を受けられます。
通勤交通費の変化
派遣法の改正以前、多くの派遣社員は時給に交通費が含まれるか、もしくはそもそも交通費が支給されない条件で契約していました。このため、派遣社員と正社員との間には交通費による格差を感じる人が多く存在しました。
通常、交通費は非課税対象ですが、時給に含まれる形で支給される場合は課税の対象となります。そのため、所得税や住民税などの累進課税による支払いにおいて、不公平感を抱く派遣社員も多く存在しました。
しかし、改正労働者派遣法により、派遣社員に対して正社員と同等以上の交通費の支給が義務付けられました。また、支給方法も時給換算ではなく、実費で支払うように定められたため、支給された交通費は非課税対象となります。
これにより、これまで交通費を受け取れなかった方や、時給に組み込まれていたことに不満を持っていた方の待遇が大幅に改善されました。ただし、正社員にも交通費が支給されていない会社の場合、派遣社員も同様に交通費を受け取れないことに留意してください。
派遣先均等・均衡方式の場合、次の派遣先を決める際にその企業の正社員がどのような形で交通費が支給されているのかをチェックしておくと安心です。
派遣社員の交通費を決める方法は?
派遣社員にとって交通費は、就業条件の中でも特に注目される部分です。交通費の支給方法は複数存在し、企業と派遣社員の双方にとって適切な方法の選択が求められます。
派遣先均等・均衡方式は派遣先の規定に準ずるため、派遣先企業に限度額や距離計算などの確認が必要です。
ここでは労使協定方式における支給額や計算方法を紹介します。実費支給と定額支給という二つの支給方法について、それぞれの特徴と決定方法を解説します。
実費支給と定額支給から選ぶ!
労使協定方式での交通費の支給方法には大きく分けて、「実費支給」と「定額支給」の二つの選択肢があります。それぞれの方法は、派遣社員の通勤状況や企業の経営方針に応じて選ばれるため、事前の確認が必要です。
実費支給とは
派遣社員が実際に支出した交通費の全額を派遣元企業から支給される方法を指します。この方式の最大の特徴は、使用された交通機関や距離に応じた実際のコストが補償される点にあります。ただし、実費支給の場合、支給する金額に上限があるかないかで支給金額がことなります。
たとえば、Aさんが毎日電車で通勤して、片道の交通費が250円、週に3日(月12日)働いているとしましょう
【支給金額の上限がない場合】
自宅から職場までの交通費を出勤日数に応じて実費で受け取ることができます。
この計算は、「交通費(片道)×2×勤務日数交通費(片道)×2×勤務日数」で表され、Aさんのケースでは
250円×2(往復)×日=6,000円/月
となります。
【支給上限がある場合】
一般通勤手当を基準として求められる金額以上の交通費を支払う義務が発生します。
「74(円)×1日の所定労働時間×1週間あたりの所定労働日数×52(週)÷12(ヶ月)」で表され、Aさんのケースでは、
74円×8時間×3日×52週÷12=7,696円/月
となります。
定額支給とは
一方で、定額支給とは、事前に定められた一定の額が毎月交通費として支給される方法です。この方式は簡便であり、実際の交通費の金額に関わらず一律の金額が支給されます。計算式には特定のものはありませんが、例として毎月10,000円と定められている場合、実際の交通費がそれを上回ろうとも下回ろうとも変わらずに10,000円が支給されます。
ただし、先ほどご紹介した一般通勤手当を基準として求める金額が最低金額となります。Aさんの場合だと7,696円/月以上支給されるということです。
労使決定で交通費の金額は決まる
実費支給と定額支給どちらの支給方法も労使決定の手続きを踏んで金額が決まります。
労使協定は、使用者(派遣会社)と労働者(派遣社員)との双方の合意の上に決定されるため公平性が保たれます。
労使協定方式の実費支給の場合、労使協定で、その会社において実費とは何のことかを明確にすることが定義されます。例えば、
・片道2キロ未満には通勤手当は支給されない
・車通勤の場合、1キロ●●円の燃料費を見込み額として支給する。
・距離の測定にはGoogleマップを使用する。
・通勤手当の上限は●●●●●円とする。
などです。曖昧な決定は、のちのトラブルになるので細かく決められていることが一般的です。労使協定は労働者へ周知の必要があるので、労働者はいつでもその内容を知ることができます。
交通費と通勤費の違い
日本において、「交通費」と「通勤費」はしばしば混同されますが、実際には異なる費用を指します。通常、「交通費」とは業務遂行のために発生する外出時の費用であり、出張や業務のための移動に使われるものです。これに対して「通勤費」とは、従業員が自宅から職場までの移動にかかる費用のことで、日常的な出勤に伴うものです。
例えば、社員がクライアントへの訪問や外勤のために支払った交通費は「交通費」として扱われ、通勤定期券や日々の電車賃などは「通勤費」として区別されます。この違いは税務処理においても重要で、交通費は業務経費として計上されることが多い一方で、通勤費は非課税の手当として扱われることが一般的です。
派遣の通勤交通費はどこが負担する?
派遣社員の通勤交通費の支払いに関しては、一般的には派遣元の会社、つまり派遣社員を雇用する企業が負担するのが基本です。この取り決めは、派遣労働者の雇用条件の透明性と公正性を確保するために法律で定められており、派遣社員の待遇改善と保護を目的としています。
一方で、派遣先企業が直接派遣社員に通勤交通費を支払うことは、労働者派遣法に基づいて違反行為とみなされる可能性があります。これは派遣先が直接派遣社員に対して給与の一部を支払う行為が、郎等基準法違反や職業安定法違反にあたる恐れがあるためです。このような違反は、労働基準法における「二重雇用の禁止」に触れる可能性があり、派遣先企業と派遣社員の双方に不利益をもたらすことが懸念されるため、交通費の取り扱いには細心の注意が必要です。
したがって、派遣社員の交通費は、雇用の契約を結んでいる派遣元企業が支払うことが適切であり、法律を遵守する上で重要なポイントとなります。
派遣社員の交通費支給で確認しておくべきこと
派遣社員に交通費を支給する際には、いくつか重要なポイントがあります。ここでは、交通費の支給が派遣社員や企業にどのような影響を与えるのか、また、交通費支給に関するルールの複雑性など、確認しておくべき重要な事項をご紹介します。
交通費の支給で納税金額が変化する可能性
交通費の支給は、派遣社員の手取り金額だけでなく、納税に関する金額にも影響を及ぼす可能性があります。
交通費の税金は、上限額を超えなければ非課税です。しかし、通勤手段によって非課税になる上限額が異なります。また、仕事に必要のない費用は課税対象になります。例えば、
・徒歩で通勤できる距離なのに交通費が支給されている。
・単身赴任先から家族に会うために帰省する交通費が支給された。
などです。
このように、支給される交通費が非課税限度額を超える場合や、特定の条件を満たさない場合には課税対象となることもあります。また、税金はかからなくても、社会保険料に計算には交通費が含まれます。
交通費支給のルールの把握が難しい
交通費の支給には、支給金額に関することや、課税対象か非課税対象か?、社会保険料に対して、など様々なルールが存在します。それらすべてを把握することは難しいです。
また、法令の改正によって規定が変更されることもあるため、最新の情報を常に把握し、適切な支給方法を知る必要があります。不明点はその都度確認していくことが、トラブルを避けるためには不可欠です。
派遣社員として働くメリット
派遣社員として働くことには、正社員や契約社員にはない利点があります。以下では、派遣社員の働き方についてのメリットを掘り下げていきます。
柔軟性が高い
派遣社員として働く最大のメリットの一つは、その柔軟性です。多くの派遣社員は、仕事とプライベートのバランスを取りやすいように、勤務時間や勤務地を選ぶことが可能です。また、様々な業界や職種を経験できるため、広い視野とスキルセットを身に付けることができます。
お金を稼ぎやすい
派遣社員として働く際に寮に入寮することで、家賃を安く抑えられたり初期費用が抑えられるというメリットがあります。
また、職種にもよりますが時給が高めであることが多いのも特徴です。
今回紹介した交通費や、スキルに応じた手当を支給されることで、さらなる給与のアップも期待できます。
収入アップを求めた転職時のポイント! |
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資格や実務経験があればよりお仕事選びがしやすくなりますが、未経験の場合でも採用をする職場も多く存在します。 |
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まとめ
派遣社員も交通費が貰えることが分かりました。
派遣社員への交通費支給は法律で守られていますが、支給される金額については、決定方法がいくつかあります。ご自身の待遇を守る上でも、交通費は支給されているのか、どの方法によって金額が算出されているのかを知るようにしましょう。
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