エネルギー管理士とは?仕事内容や資格試験の内容、勉強のポイントなどを徹底解説!

2024年1月17日更新

エネルギー管理士とは?仕事内容や資格試験の内容、勉強のポイントなどを徹底解説!

「エネルギー管理士」とは、企業や施設のエネルギー管理を専門に行う資格のことです。省エネルギーやCO2削減に貢献することが求められる仕事であり、社会的にも注目を集めています。
この記事では、エネルギー管理士について仕事内容や資格試験の内容、勉強のポイントなどを徹底解説します。

エネルギー管理士とは

エネルギー管理士とは、熱管理士と電気管理士を統合した国家資格であり、省エネ法に基づくエネルギー管理の専門家です。エネルギー管理士試験に合格するか、エネルギー管理研修を修了し、免状の交付を受けた人がエネルギー管理士となります。

試験は7月下旬~8月上旬に毎年1回行われ、各都道府県のエネルギー管理士会が主催しています。試験は難易度が高く合格率が低いため、しっかりと試験対策を行う必要があります。

この資格は、企業や団体のエネルギー管理を担当する人材や、省エネルギーに関心のある方にとって非常に有用です。規定量以上のエネルギーを使用する工場にはエネルギー管理者を置かねばならない為、エネルギー消費量が多い企業や産業分野では欠かせない存在となっています。エネルギー管理士の資格保持者は、社会的責任感を持って、省エネルギーの推進や地球温暖化防止に貢献することができます。

エネルギー管理士の必要性

エネルギー管理士資格が日本で登場したのは、国のエネルギー自給率が低く、有限な資源を最大限に有効活用する必要があったからです。エネルギーは経済の根幹を支え、特に工場などの多量のエネルギー消費施設では、その使用効率向上が喫緊の課題とされています。
日本では、国全体で省エネの取り組みが進んでおり、その一環としてエネルギー管理士が注目されています。
工場においては、機械や生産ラインなどが連動してエネルギーを大量に必要とするため、効率的なエネルギー利用が求められます。エネルギー管理士は、エネルギーの使用状況や効率をモニタリングし、最新の省エネ技術や施策を導入することで、生産プロセス全体の最適化を図ります。

エネルギー管理士の「熱分野」と「電気分野」とは?

エネルギー管理士の試験は、熱分野と電気分野の2つの分野から構成されています。

熱分野では、建物の断熱性能や空調設備、製造プロセスにおける熱効率向上などに関する知識が必要です。例えば、建物の断熱性能を高めるためには、断熱材の選定や施工方法などを考慮する必要があります。また、空調設備については、適切な温度や湿度、空気流量を設定することで、快適な室内環境を維持しながら、エネルギー消費を抑えることができます。さらに、製造プロセスにおいては、余剰熱を回収するなどの方法で、熱効率を向上させることができます。

電気分野では、高効率な電気機器の選定や、電力供給の安定化、配線や制御系の設計などの知識が必要となります。例えば、高効率な電気機器を選定することで、電力消費を抑えることができます。また、電力供給の安定化には、蓄電池やUPS(無停電電源装置)などの設備を導入することが有効です。さらに、配線や制御系の設計においては、電力ロスを最小限に抑えるなどの工夫が必要です。

エネルギー管理士の資格を活かした仕事内容は?

エネルギー管理士の資格を活かした仕事内容は、企業や施設などのエネルギー管理業務を担当することです。エネルギーの使用状況をモニタリングし、省エネルギー化やCO2削減に向けた施策を策定・実施することが主な仕事となります。エネルギー管理者は、エネルギーの使用状況を正確に把握し、改善策を提案する能力や、省エネルギー化に関する知識やスキルを持ちます。また、法的要件への対応や、社会的責任感を持って業務を遂行することも求められます。

以下では、エネルギー管理者とその下位ポジションに当たるエネルギー管理員、それぞれの役割や仕事内容、必要なスキルについて解説をしていきます。

エネルギー管理者について

エネルギー管理者はエネルギー管理士以上の能力が求められ、企業や施設のエネルギー管理においてリーダーシップを発揮、省エネルギー化やCO2削減などエネルギー管理全般を統括しています。また、経営陣への報告やエネルギー管理士の指導も行い、組織全体のエネルギー効率の向上に取り組みます。エネルギーに関する高度な知識や技術だけでなく、経営的な視点、リーダーシップ力、コミュニケーションスキルなども必要です。

エネルギー管理員について

エネルギー管理員は、エネルギー管理士の指示の下、企業や施設のエネルギー管理に関する業務を担当するポジションです。エネルギー使用状況のモニタリングや分析、省エネルギー化やCO2削減に向けた施策の実行、省エネルギー化に関するアドバイスや支援などを担当します。また、エネルギー管理に関するスキルの向上にも取り組んでいます。エネルギーに関する基本的な知識や技術、コミュニケーションスキル、問題解決能力などが求められます。

エネルギー管理士の資格試験概要

エネルギー管理士の資格を取得する方法は、国家試験を受け合格する方法、認定研修を受け、修了試験に合格する方法の二つがあります。以下は各試験の概要です。

エネルギー管理士試験による取得

試験時期7月下旬~8月上旬に毎年1回実施
受験資格受験資格の制限はありません。
受験料17,000円(非課税)
試験課目・形式、試験内容必須基礎区分と専門区分に分かれており、専門区分は「熱分野」と「電気分野」から選びます。
試験は筆記試験(マークシート方式)です。

【専門区分:熱分野】
課目I エネルギー総合管理および法規:80分
課目II 熱と流体の流れの基礎:110分
課目IV 熱利用設備およびその管理:110分
課目III 熱量と燃焼:80分

【専門区分:電気分野】
課目I エネルギー総合管理および法規:80分
課目III 電気設備および機器:110分
課目IV 電力応用:110分
課目II 電気の基礎:80分

エネルギー管理士研修による取得

試験時期12月上旬~中旬
受験資格エネルギー管理の実務経験3年以上の方。
受験料70,000円(非課税)
試験課目・形式、試験内容研修は6日間の講義と最終日の修了試験の形式で行われます。
講義は一時限40分で、以下の内容が含まれます。

【熱分野専門区分】
1. エネルギー総合管理および法規:9時限
2. 熱と流体の流れの基礎:16時限
3. 燃料と燃焼:7時限
4. 熱利用設備およびその管理:18時限

【電気分野専門区分】
1. エネルギー総合管理および法規:9時限
2. 電気の基礎:6時限
3. 電気設備および機器:12時限
4. 電気応用:23時限

エネルギー管理士の合格基準、合格率・難易度

エネルギー管理士試験

配点の60%以上を得点した課目は合格となり、4課目すべて合格で試験合格となります。
2022年の合格率は33.9%となっています。
例年を通して30%代を上回らず、合格が難しい試験と言えます。

エネルギー管理士研修

合格基準は非公開となっています。
2022年の合格率は61.3%と、試験よりも高い数値が出ています。

エネルギー管理師の資格取得のために勉強する際のポイント

《熱分野》熱・流体の流れの基礎を押さえる

熱の基礎、熱伝達、流体の流れ方、温度・圧力など、熱分野に関する基礎的な知識を押さえましょう。

《熱分野》熱利用設備やその管理の知識を身に付ける

熱源、熱利用設備、温度管理、省エネ、環境対策など、熱分野におけるエネルギー管理に関する知識を身に付けましょう。

《電気分野》電気の基礎を押さえる

電気回路、電気機器、電気計測、電気の安全対策、電気の基礎的な知識を押さえましょう。

《電気分野》電気設備・機器に関する知識を身に付ける

電力の取扱い、電気設備、電気機器、電気の安全対策、省エネ、環境対策など、電気分野におけるエネルギー管理に関する知識を身に付けましょう。

法規・管理に関する知識を身に付ける

エネルギー管理士の業務においては法規・規制を遵守することが求められます。省エネ法、グリーン購入法、ISOなど、エネルギー管理に関連する法規・規制に関する知識を身に付けましょう。

産業・施設におけるエネルギー管理に関する知識を身に付ける

エネルギー管理士の業務においては、産業や施設におけるエネルギー管理に関する知識が必要となります。産業プロセス、施設設備、省エネ、環境対策など、産業や施設におけるエネルギー管理に関する知識を身に付けましょう。

エネルギー管理士の資格を取得するメリットは?

▼未経験分野への就職や転職に役立つ

難易度の高い試験のため、資格を取得することで転職に有利に働くでしょう。エネルギー関連企業や省エネルギー化に力を入れる、様々な企業に就職することができます。また、エネルギー管理に関するスキルが求められる仕事に転職することもできます。こうした取り組みにより、自身の能力や興味に合った仕事を選ぶことができます。

▼キャリアアップにつながる

エネルギー管理士の資格を取得することで、自己啓発やスキルアップに積極的な姿勢がアピールでき、キャリアアップにつながる可能性があります。また、世界全体で省エネが推進され、エネルギー管理に関する知識やスキルを持つ人材は今後ますます需要が高まると予測されており、将来的なキャリア展開にも期待が持てます。

▼エネルギー管理業務のスキルアップ

エネルギー管理士の資格を取得することで、エネルギーの使用状況を正確に把握し、改善策を提案する能力が向上します。こうした取り組みにより、企業や施設の省エネルギー化が促進され、エネルギー管理業務の効率化が期待できます。

▼法的要件への対応が可能になる

省エネ法やグリーン購入法などの法的要件が存在する中で、エネルギー管理士の資格を持つことで、法令遵守に必要な知識やスキルを身につけることができます。

▼社会貢献

省エネルギー化による地球環境の保全やCO2削減に貢献することができます。エネルギー管理士の資格を持つことで、企業や施設のエネルギー管理を通じて、社会に貢献することができます。

エネルギー管理士の将来性

省エネルギー化やCO2削減など、エネルギー問題に対する社会的関心が高まる中で、エネルギー管理士の重要性がますます高まっています。また、近年では、企業や自治体などが環境負荷低減に向けた取り組みを進めることから、エネルギー管理士が求められるようになっています。国の政策や法令がエネルギー管理士の活躍の場を広げることも期待されており、今後も需要が拡大していくと予想されます。エネルギー管理士の資格を持つことで、幅広いキャリアアップの可能性があり、今後ますます注目される職種の一つとなるでしょう。

まとめ

工場勤務で高収入を目指したい方は、ぜひ「ジョブ派遣」をご活用ください。ジョブ派遣は、派遣会社(株式会社日輪)が運営している求人サイトで、製造業・派遣社員のお仕事を中心にご紹介しています。独自の研修もご用意していますので、工場勤務が初めての方も安心してご応募いただけます。

参考:ECCJ 省エネルギーセンター

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執筆・編集

株式会社日輪コンテンツ編集チーム
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