ティグ溶接(TIG溶接)とは?特徴やコツを解説!

2024年8月21日更新

ティグ溶接(TIG溶接)とは?特徴やコツを解説!

ティグ溶接は、金属をくっつけるための技術で、さまざまなものづくりの工程で使用されています。あまり聞き慣れないかもしれませんが、製造業において欠かせない技術です。溶接にはいろいろな種類がありますが、このコラムでは、ティグ溶接にヒューチャーをして、基本的な説明から、ティグ溶接を使うメリットやデメリットなどを説明します。

ティグ溶接とは?

ティグ溶接とは、金属の溶接に使われます。イメージすると、お箸で料理をつまむように、電気で金属を溶かしてくっつける仕組みです。この方法を使うことで、強くて丈夫なつなぎ目を作ることができます。まず、ティグ溶接の基本的な仕組みや、特徴などを見てきましょう。

ティグ溶接の基本

ティグ溶接とは、電気の力で金属をつなげるための特別な溶接方法です。

TIG(ティグ)溶接のTIGはTungsten Inert Gas(タングステン不活性ガス)溶接を略したものです。

溶接には、融接、圧接、ろう接の3種類の方法があります。ティグ溶接は融接による溶接法の一つです。

融接による溶接法は、母材を溶かす手段により、ガス溶接、アーク溶接、レーザー溶接、電子ビーム溶接に分けられます。ティグ溶接は、アーク溶接にあたります。アーク溶とは、気体中の放電現象に伴って発生する熱で母材を溶融する方法です。簡単にいうと、電気の力で金属を溶かし、つなげるための溶接方法です。

溶接方法はタングステンという棒に電流を流し、溶接する材料との間に高温のアーク(電気放電によって発生する非常に熱いガス)を発生させ、その熱で材料同士を溶かして溶接します。

ティグ溶接では火花が飛び散りません。ステンレスやアルミの溶接に最適で、鉄の溶接も可能です。ティグ溶接では火花が飛び散りません。ステンレスやアルミ、鉄など、ほとんどすべての金属の溶接が出来ます。

ティグ溶接の特徴

ティグ溶接はステンレスやアルミ、鉄など、ほとんどすべての金属の溶接が出来ます。
各種溶接法の中でも溶接の見た目が美しく、アーク溶接(手棒)や半自動溶接ではできないような細かい部分の溶接にも適しています。
ティグ溶接では、金属同士がしっかりと接合されるため、強くて丈夫なつなぎ目を作ることができる溶接方法です。
このため、様々な産業分野で使用される構造物や機械の製作において、頑丈なつなぎ目を作るために利用されています。

溶接には資格が必要な場合があります。溶接資格の種類に関してはこちらのコラムをご覧ください。

ティグ溶接の分類

ティグ溶接は、ワイヤの有無や電流波形に基づいて分類されます。

  1. ティグ溶接(ワイヤあり): ワイヤフィーダーを使用し、溶接ワイヤを自動的に供給する方式です。ワイヤは溶接電極と同時に送られ、アークが発生することで溶接が行われます。この方法は高生産性であり、大規模な溶接作業に適しています。
  2. ティグ溶接(ワイヤなし): ワイヤフィーダーを使用せず、手動で溶接材料を供給する方式です。溶接棒(ロッド)を持ち上げて溶接箇所に近づけ、アークが発生することで溶接が行われます。この方法は溶接作業の自由度が高く、狭い空間や細かな作業に適しています。
  3. パルスティグ溶接: ディグ溶接の中でも、電流波形をパルス状に制御する方法です。パルスティグ溶接では、短い間隔でアークの強さを変化させることで、溶融プールの制御や溶接品質の向上を図ります。高い制御性と安定性を持ち、厚みの異なる材料の溶接に適しています。

これらのディグ溶接の分類は、溶接作業の目的や条件に応じて選択されます。

ティグ溶接のメリット

ティグ溶接について、どういうものか理解できたところで、ティグ溶接のメリットをいくつかあげていきます。

高い溶接強度

ティグ溶接は、金属を強固につなげることができます。溶接時に発生する高温のアークにより、金属が溶け、溶融プールが形成されます。その後、溶融プールが冷却・固化することで、金属同士がしっかりと接合します。これにより、頑丈なつなぎ目ができるため、強い接合が可能です。

多様な材料に対応

ティグ溶接は、異なる種類や厚さの金属材料を溶接することができます。さまざまな金属合金や鋼材、アルミニウムなどに対応しており、幅広い用途で利用されています。

自由度の高い作業

ティグ溶接は、ワイヤの有無や電流波形の選択によって作業方法を調整できます。ワイヤの使用有無によって手動や自動の溶接が選べ、さらにはパルスティグ溶接によって溶接の制御が可能です。これにより、溶接作業の自由度が高まり、様々な条件に合わせた溶接が行えます。

高い生産性

ティグ溶接は、溶接作業の効率を向上させることができます。自動的なワイヤ供給やパルスティグ溶接の利用により、溶接速度や溶接品質の向上が図れます。これにより、生産性が向上し、効率的な溶接作業が実現できます。

ティグ溶接のデメリット

次にデメリットをいくつかあげていきます。

高い熱影響

ティグ溶接は、高温のアークによって金属が溶けるため、周囲の材料にも高い熱が伝わります。これにより、熱影響ゾーン(熱による変質領域)が広がり、材料の強度や特性が変化する可能性があります。特に熱に敏感な材料や部品に対しては、溶接時の熱管理に注意が必要です。

溶接スピードが遅い

ティグ溶接は、溶接時に電極を手動で操作するため、溶接スピードが比較的遅くなることがあります。半自動溶接ではスイッチを押している間に自動的にワイヤーが供給される一方、ティグ溶接では溶接棒を手で操作しながら溶接を進める必要があります。そのため、溶接作業のスピードや効率では半自動溶接には劣ることがあります。特に大規模な溶接作業や連続的な溶接が必要な場合には、作業時間が長くなる可能性があります。。

風の影響を受けやすい

ティグ溶接では、アークが発生するために一定の電流とガスの流れが必要です。風の強い環境では、アークの安定性が低下し、溶接品質に悪影響を及ぼす可能性があります。風の影響を最小限に抑えるためには、適切な風除けや遮蔽物の使用が必要です。

製品事例紹介

ティグ溶接は、さまざまな産業や分野で幅広く活用されています。以下にいくつかのティグ溶接の事例を紹介します:

  1. 自動車産業: 自動車のボディパネルやフレームの製造において、ティグ溶接が使用されます。アルミニウムやステンレス鋼などの非鉄金属を高品質な溶接でつなぐことが求められるため、ティグ溶接の特長である正確な制御と高い溶接品質が重要です。
  2. 航空宇宙産業: 航空機や宇宙機の製造においても、ティグ溶接が重要な役割を果たしています。アルミニウムやチタン合金などの軽量で強靭な材料を溶接する際に、高い精度と溶接品質が要求されます。
  3. 食品加工業: 食品加工機械や食品容器の製造においても、ティグ溶接が使用されます。ステンレス鋼などの衛生的な材料を溶接し、高い耐腐食性と清潔さを確保するために、ティグ溶接が選ばれます。
  4. 家具製造業: 高級家具やデザイナーズ家具の製造において、ティグ溶接が利用されることがあります。金属素材を美しくつなぎ合わせることで、高品質な仕上がりと耐久性を実現します。

これらは一部の例であり、実際にはさまざまな産業や製造分野でティグ溶接が活用されています。ティグ溶接の特性である高い溶接品質と正確な制御は、さまざまな要求に応えるために重要な役割を果たしています。

ティグ溶接のコツ

それでは、ティグ溶接を実際に行う際のコツを5つあげていきます。コツを頭に入れながら、継続的な練習と経験を積むことがティグ溶接の上達につながります。焦らずに自分のペースで取り組み、時間をかけて技術を磨いていきましょう。

トーチの進め方のコツ

溶接を進める際、溶接トーチの角度を一定に保つことが重要です。角度が変わると溶接の質に影響を及ぼし、溶接ビードの形状や均一性に影響を与えます。また、溶接時の構えも重要で、安定した姿勢を保つことで精密な制御が可能になります。

脚長の幅

「脚長」とは、溶接部分から溶接ビードの端までの距離を指します。事前に水性ペンを使って脚長のラインを引くことで、均一な溶接ができます。正確な脚長を保つことで、強度や見た目の美しさに影響を与えます。

力を抜く

溶接時に力を入れると、溶接トーチがブレたり、不安定なアークが発生したりする可能性があります。力を抜いて、ゆっくりと丁寧に溶接を進めることで、より安定した結果が得られます。肩や腕の力を抜くことに注意しましょう。

タングステン電極のコツ

タングステンは金属の中で最も融点が高く、融けにくく、消耗しにくくなっております。
タングステン電極は溶接トーチから適切な位置で出しすぎないように注意しましょう。出しすぎるとタングステン電極が母材や溶融プールに触れてしまい、溶接品質に悪影響を及ぼす可能性があります。また、タングステン電極と母材の距離も適切に保つことが重要です。

溶接時の構えのコツ

溶接作業中は、トーチケーブルを肩にかけて適切な姿勢を保つことが重要です。トーチの持ち方や溶接棒の位置にも注意しましょう。正確な構えと姿勢を保つことで、溶接操作の安定性と制御性を高めることができます。

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まとめ

この記事では、ティグ溶接についての基本的な原理や溶接方法、メリットやデメリットについて詳しく解説しました。ティグ溶接は、金属を溶かしてつなげるための優れた技術であり、製造業や建設業、自動車産業など、さまざまな産業分野で広く活用されています。もし、溶接の種類に興味があり、ティグ溶接に関する知識を深めたい方や、ディグ溶接の仕事を検討している方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。ディグ溶接の技術を習得することで、新たなキャリアや製作の可能性が広がるかもしれません。

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