派遣社員は健康保険に加入するべき?国民健康保険との違いや加入方法などを解説
2024年8月21日更新
派遣社員も正社員と同じように健康保険制度の対象とされているため、条件を満たす人は基本的に派遣会社の健康保険に加入することになります。家族の扶養に入るなどの理由で派遣会社の健康保険に加入したくない場合は、条件を満たさないように働かなければいけません。
今回は、派遣社員が健康保険に加入する条件やメリットなどについて解説していきます。
そもそも健康保険とは
健康保険とは、会社員とその家族が加入する公的な医療保険制度のことを言います。
病気やケガ、またはそれによる休業などがあると思わぬ出費を強いられることになります。場合によっては収入が途絶え、生活が不安定になることもあるでしょう。このようなリスクに備えるため、被保険者が保険料を支払い、それを財源として必要なときに必要な人が給付を受けられるようにする仕組みが公的な医療保険制度であり、その一つが健康保険です。
健康保険は、健康保険組合によって運営されています。健康保険組合は、常時700人以上の従業員がいる事業所や同種・同業で3,000人以上の従業員が集まる事業所が運営している組合です。健康保険組合は、被保険者や被扶養者に病気やケガ、傷病による休業、出産、死亡などの事象があったとき、医療費を負担したり各種給付金を支給したりします。加えて、健康情報の提供、病気の予防と早期発見を目的とした各種健康診断の実施、運動施設や保養施設の提供など、被保険者や被扶養者の健康づくりを支援するために様々なサービスを提供しています。
健康保険と国民健康保険の違い
【健康保険】
・被用者保険に区分される
・会社員やその家族が加入
・保険料は労使で折半して負担
・給与天引きにより保険料を納付
・高額療養費制度があり、1回の支払い額に上限がある
【国民健康保険】
・地域保険に区分される
・自営業者、無職者、学生などが加入
・加入者全員で保険料を負担(所得に応じて設定)
・加入世帯ごとに市区町村に保険料を納付
・高額療養費制度の支払い上限が健康保険より高い
つまり、健康保険は勤務先の会社から強制加入され、保険料の一部を会社が負担するのに対し、国民健康保険は自身で市区町村に加入手続きを行い、全額自己負担となる点が大きな違いです。
また、健康保険の方が高額療養費の自己負担上限額が低く設定されているため、手厚い給付を受けられるメリットがあります。一方、国民健康保険は地方自治体ごとに保険料が異なるため、居住地によってコストが変わります。
派遣社員が健康保険に加入するための条件とは?
派遣社員でも一定の条件を満たしていれば、正社員と同様に健康保険に加入します。派遣社員が健康保険に加入する条件は以下のとおりです。
・雇用契約期間が2ヶ月を超える、もしくは2ヶ月を超える見込みがある
・契約で決められた1週間の労働時間が、一般の社員の4分の3以上である
・契約で決められた1ヶ月の労働日数が、一般の社員の4分の3以上である
なお、契約で決められた1週間の労働時間、および1ヶ月の労働日数が一般の社員の4分の3未満である場合でも、以下の条件をすべて満たしている場合は健康保険の加入資格を得られます。
- 契約で決められた1週間の労働時間が20時間以上である
- 雇用契約期間が2ヶ月を超える、もしくは2ヶ月を超える見込みがある
- 1ヶ月の賃金が88,000円以上である
- 常時101人以上の健康保険の被保険者を使用している派遣会社、もしくは100人以下で健康保険への加入について、労使合意した派遣会社に勤めている
- 学生ではない
派遣社員が国民健康保険のままだと保障はどう変わる?
健康保険の加入条件を満たす派遣社員は、派遣会社の健康保険に加入します。健康保険は、自営業者や専業主婦などが加入する国民健康保険とはいくつかの違いがあります。派遣社員が健康保険の加入条件を満たさず、国民健康保険のままでいる場合と、派遣会社の健康保険に加入する場合の違いについてご説明します。
国民健康保険のままの場合
健康保険の加入条件を満たさず、派遣社員として働き始めてからも国民健康保険のままでいる場合、保険料の負担に違いが出ます。国民健康保険の保険料は全額自己負担する必要があります。また、国民健康保険には「扶養」という考え方がないので、世帯の人数が増えると保険料も増加します。
派遣会社の健康保険に加入した場合
派遣会社の健康保険に加入した場合、健康保険料は派遣会社と折半して負担することになります。また、配偶者などの親族を扶養に入れることができます(被扶養者が何人いても保険料が上がることはありません)。加えて、出産手当金や傷病手当金など、国民健康保険にはない手当を受給することができます。
派遣会社の健康保険に加入するメリット
派遣会社の健康保険に加入するメリットは、主に以下の3点です。
保険料を派遣会社が半分負担してくれる
派遣会社の健康保険に加入した場合、保険料の半分を派遣会社に負担してもらえます。国民健康保険のままでいる場合、保険料は全額自己負担なので、それに比べると保険料の負担は約半分で済みます。
国民健康保険にはない手当を受給できる
派遣会社の健康保険に加入すると、「出産手当金」「育児休業給付金」「傷病手当金」など、国民健康保険にはない手当を受給することができます。
- 出産手当金:産休中に受け取れる手当
- 育児休業給付金:育休中に受け取れる手当
- 傷病手当金:仕事以外での病気やケガのために3日以上続けて休んだとき、4日目から支給される手当
国民年金よりもらえる年金額が多い
派遣会社の健康保険(社会保険)に加入するということは、年金も厚生年金保険に加入するということです。厚生年金は国民年金に上乗せされて給付される年金のことで、国民年金の基礎年金に厚生年金の受給額が加算されるため、国民年金に比べると老後に受給できる年金額が多くなります。
派遣社員の健康保険への加入手続き方法
健康保険の加入条件を満たしていれば、加入手続きは派遣会社がおこなってくれるので、自分で特別な手続きをする必要はありません。
ただし、健康保険に加入する前に国民健康保険に加入していた場合は国民健康保険の脱退手続きが必要になり、この手続きは自分で市区町村の役所に行っておこなう必要があります。国民健康保険から脱退しないでいると、新しく加入した健康保険の保険料と国民健康保険の保険料を二重払いすることになってしまうおそれがあるため、忘れずに手続きをするようにしましょう。
派遣会社の健康保険に入りたくない場合は?
派遣社員として働く人のなかには、「家族の扶養に入りたいので、派遣会社の健康保険(社会保険)には加入したくない」と考える人もいるでしょう。その場合は、健康保険の加入条件を満たさないように働く必要があります。
健康保険(社会保険)は、加入条件を満たしている人は必ず加入しなければいけないものなので、労働時間や労働日数を抑えて働かないと、「うっかり健康保険の加入条件を満たしてしまった」ということになりかねません。加入条件を満たさないようにするための具体的な労働時間・労働日数が分からない場合は、派遣会社に「家族の扶養内で働きたい」旨を伝えたうえで、派遣先企業を紹介してもらうのが良いでしょう。
派遣の契約が終了した際は保険証の返却を
派遣契約が終了すると健康保険の加入対象から外れるため、健康保険証も返却することになります。健康保険証は忘れずに派遣会社に返却するようにしましょう。契約終了日の翌日以降は、健康保険証を使用することはできません。契約終了後に健康保険証を使って病院にかかった場合、無資格受診となり、医療費の全額を自己負担することになります。
派遣契約が終了した後の健康保険はどうしたらいい?
派遣契約が終了した後、病気やケガに備えるためには主に以下の3つの選択肢があります。
任意継続制度を利用する
派遣契約が終了した後も、諸条件を満たしていれば、それまで加入していた健康保険に引き続き加入することができます(最長2年間)。これを健康保険の「任意継続制度」と言います。任意継続をすれば、扶養家族がいる場合も家族分の保険料を支払う必要がないため、通常は、後述する国民健康保険に切り替える場合に比べて保険料負担が軽くなるでしょう。ただし、派遣契約中のように派遣会社が保険料の半分を負担してくれることはなく、全額が自己負担になります。
国民健康保険へ切り替える
派遣会社の健康保険から国民健康保険へ切り替えるパターンです。国民健康保険は、自営業者や専業主婦、学生などが加入する保険制度です。派遣契約が終了した後、任意継続制度を利用しない人の多くは国民健康保険へ切り替えることになるでしょう。国民健康保険には「扶養」の概念がないため、配偶者や子どもなど、家族の分の保険料を負担することになります。なお、国民健康保険への切り替え手続きは、派遣契約が終了した日の翌日から14日以内に市区町村の役所でおこなわなければいけません
家族の健康保険に加入する
家族が勤めている会社の健康保険に扶養として入るパターンです。共働きの場合、配偶者が加入している健康保険に加入する(被扶養者となる)ケースは多くなるでしょう。この場合、被扶養者の保険料を支払う必要がなくなるので、保険料負担を軽減することができます。なお、扶養に入るための条件は、家族の勤務先が加入している健康保険組合によって異なります。
まとめ
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